それがし乞食にあらず (平田弘史傑作選 (昭和四五年~四六年))
時代劇におけるセンスオブワンダーをこれほど持ち合わせた漫画家がほかにいるだろうか。 各登場人物たちの武士たる故の あるいは武士ならざる為に入り乱れる感情、血、臓物。
決して美化もせず卑下もしない客観的な視線、それでも溢れ出る激情をまったく余すことなく書ききっている。
本人がどういう意思で書いてるのかは分からないが、エンターテイメントの範疇で扱えるものではない。
決して美化もせず卑下もしない客観的な視線、それでも溢れ出る激情をまったく余すことなく書ききっている。
本人がどういう意思で書いてるのかは分からないが、エンターテイメントの範疇で扱えるものではない。
血だるま剣法・復讐つんではくずし
昭和7年生まれの父が、今まで読んだ漫画の中で一番怖かった、と言っていたのが「つんではくずし」でした。父は、まさに貸本屋で借りて読んだ人でした。たった一度読んだだけでしたが、劇画の怖さ、一寸刻みの残酷さ、つんではくずす、終わらない絶望感を、正確に覚えていました。父が語った内容、印象的なタイトルは、ずっと記憶に残っています。父は貸本屋を見つけると、この「つんではくずし」を探しましたが、二度と手に入らなかったそうです。絶版だったと知り、納得です。この復刻版を読み、父の語った通りだと思いました。「つんではくずし」、恐ろしい名作、怪作です。劇画が怖い、復讐の仕方が怖い。一度読んだら、忘れられません。よく復刻してくれました。
血だるま剣法・おのれらに告ぐ
貸本漫画の復刻版ということで、印刷の精度は高くはありません。
絵に関しても雑でいい加減な箇所が多く、漫画としてのテクニックにも荒さが見えます。
しかし、そのような古臭さがこの作品では全て良い方向に働いています。
凄惨で妥協のないストーリーの運び、コマから滲み出す感情の極限的な高まり、
終始鳴り響く憎悪と恨みの壮絶な叫び。
正直、この時代の漫画作品は技術面やストーリーテーリング面での稚拙さが目立ち、
現代漫画を読みなれている世代にとっては納得のいかないものが多いのですが、
この作品には驚かされました。
古さはたしかに感じますが、古さを超えてなお迫りくるほどの魅力をもつ名作です。
絵に関しても雑でいい加減な箇所が多く、漫画としてのテクニックにも荒さが見えます。
しかし、そのような古臭さがこの作品では全て良い方向に働いています。
凄惨で妥協のないストーリーの運び、コマから滲み出す感情の極限的な高まり、
終始鳴り響く憎悪と恨みの壮絶な叫び。
正直、この時代の漫画作品は技術面やストーリーテーリング面での稚拙さが目立ち、
現代漫画を読みなれている世代にとっては納得のいかないものが多いのですが、
この作品には驚かされました。
古さはたしかに感じますが、古さを超えてなお迫りくるほどの魅力をもつ名作です。