ホームレス作家 (幻冬舎アウトロー文庫)
私はこの本を真夜中から読み始め、一気に読み終わったら3時になっていた。その間、退屈するどころか、自分が作者とともに新宿や中野の路上をさまよっているような妙にリアルな感覚に襲われた。自分がモノを書くという作者と近い世界で生計を立てているせいかもしれない。
作家という一般的に知的レベルが高いと信じられている人間が、ホームレスに転落するようなことがあるのだろうか? まして、就職難とはいえ、職を選ばなければいくらでも働き口のある日本である。誰もが抱く疑問だと思う。
ところが、この本を5分の1ほども読んでみれば、そのような概念が,実は家族の健康(精神を含めた)、親兄弟や親戚など肉親の存在、会社という防波堤があることを前提にしていることがわかってくる。そういった「コミュニティ」というリスクヘッジができない人間は、家庭の崩壊が即、社会人としての崩壊に結びついてしまうのだ。
驚いたのは、ジャンパー1枚与えて作者を路上に送り出す日本の福祉のお粗末さだ。作者は何故、生活保護を受けられなかったのかという疑問が残ったけれども。
『ホームレス作家』は、家族、職業、プライド、知性など、人が人として生きるために守ろうとするものの本質について改めて考えさせてくれるノンフィクションである。一読に値すると思う。
作家という一般的に知的レベルが高いと信じられている人間が、ホームレスに転落するようなことがあるのだろうか? まして、就職難とはいえ、職を選ばなければいくらでも働き口のある日本である。誰もが抱く疑問だと思う。
ところが、この本を5分の1ほども読んでみれば、そのような概念が,実は家族の健康(精神を含めた)、親兄弟や親戚など肉親の存在、会社という防波堤があることを前提にしていることがわかってくる。そういった「コミュニティ」というリスクヘッジができない人間は、家庭の崩壊が即、社会人としての崩壊に結びついてしまうのだ。
驚いたのは、ジャンパー1枚与えて作者を路上に送り出す日本の福祉のお粗末さだ。作者は何故、生活保護を受けられなかったのかという疑問が残ったけれども。
『ホームレス作家』は、家族、職業、プライド、知性など、人が人として生きるために守ろうとするものの本質について改めて考えさせてくれるノンフィクションである。一読に値すると思う。
ホームレス作家 (幻冬舎アウトロー文庫)
この本で特に、興味をひかれるのは、
「ホームレスの世界のリアリティ」でしょう。
例えば、カプセルホテル>漫画図書館>ファミレス>JR>夜通し歩き続けるの順に困ったときの宿の選択肢があるということ
衣服の汚さや悪臭によって社会から完全に排除されること
新宿よりも中野の方がホームレスには過ごしやすいこと などなど
しかしながら、決してキワモノの本ではなく、追い詰められた人間のありさまを描いたという意味で、正統派の本であり、読む価値は十分にあったと思います。
筆者は、ホームレス生活が肉体的・精神的に極限状況にあるとき、この本を書くことを決意したといいます。「私の脳の奥深いところから、書け、書け、と命じる声が聞こえてきた。」書こうというより、書かざるをえなかったという事実が、迫真の記述の背景になっているよう気がします。
「ホームレスの世界のリアリティ」でしょう。
例えば、カプセルホテル>漫画図書館>ファミレス>JR>夜通し歩き続けるの順に困ったときの宿の選択肢があるということ
衣服の汚さや悪臭によって社会から完全に排除されること
新宿よりも中野の方がホームレスには過ごしやすいこと などなど
しかしながら、決してキワモノの本ではなく、追い詰められた人間のありさまを描いたという意味で、正統派の本であり、読む価値は十分にあったと思います。
筆者は、ホームレス生活が肉体的・精神的に極限状況にあるとき、この本を書くことを決意したといいます。「私の脳の奥深いところから、書け、書け、と命じる声が聞こえてきた。」書こうというより、書かざるをえなかったという事実が、迫真の記述の背景になっているよう気がします。