俳優陣は、綾野剛、韓英恵、室井滋、伊原剛志、古田新太など豪華な実力派キャストであるにも関わらず、陰湿で重たい描写の作品に仕上がっているところに好感を持てる。

また、レビュアーの中に、精神科医の香山リカの名前があったことも納得ができる内容で、精神が病んでいる者との向き合いや心理学問題に主題を措いた内容となっている。

物語は、彫刻の学校に通いながら、母親との確執に苦しむカオリ。恋愛の仕方がわからないまま育っているが、石山（綾野剛）と出会い、「大事なのは愛じゃない！尊敬だ！」という言葉が届く。
もう一人の主人公、香織（有森也実）は、大手企業の役員秘書でありながらも、万引き常習犯とSEX依存症の女。家には引きこもりの娘がいる。

「連鎖する罪」
香織の母は、20年前に万引きでつかまり、そして首吊り自殺した。
香織は、不倫や孤独の愛に耐えられず、万引きの常習犯となり自暴自棄で堕落した日々を送る。
カオリは、気付かない間に万引きしている…。

香織とカオリに付き纏う警察官。やがて、一つの事件に巻き込まれている重要なことに気付く。

20年前に娘は死んでいること。現実と妄想の区別がつかなくなっていること。受け居れられない現実への「叫び」。
すべてが痛ましい作品です。

特に、有森也実の演技は鬼気迫るものがあって良かった。
ハードボイルドな綾野剛による「きょしこの夜」熱唱シーンもファン必見かも知れません。