赤目四十八瀧心中未遂
著者自身が「私小説作家」を標榜するだけあって、この作品でもその持ち味は存分に発揮されている。とにかく一筋縄ではいかない著者のパーソナリティーが垣間見れるようで面白い。そこが嫌だという人もいるでしょうが・・・。
赤目四十八瀧心中未遂 [DVD]
喪失感が濃密に漂う見知らぬ土地の安アパート。移り気な女の魂に翻弄される初心な男。昭和40年代を、そのような場所で生きた自分には、悪夢のように妖艶で美しくも恐い映画だった。このような世界を映像に定位できている映画を初めて見た。音楽も素晴らしい。ただ、なぜか、子供の存在が、いつも邪魔な気がした。人形の子供も含めて。この世界観を毛羽立たせるような子供の登場の仕方は、いったい何なのだろう。この映画の子供は、すべからく無言で登場すべきだと、自分は思った。