ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー BOX 5 (シナのルーレット/ペトラ・フォン・カントの苦い涙/悪魔のやから) [DVD]
ニュージャーマンシネマ、多作夭折の鬼才、ファスビンダー監督・脚本作品のBOX。
後に渡米しスコセーシ監督作で撮影を担当するバルハウスと組んだ、珍しいブラック・ユーモア物、同性愛者や障害を持った子供の為にギクシャクとした裕福な家庭の暗黒面を抉った物等問題作揃い。
1.シナのルーレット(’76)
表面上は理想の夫婦を演じる両親(アレキサンダー・アラーソン、マーギット・カーステンゼン)の浮気を意図的な逢引場所のダブル・ブッキングで白日の下にさらした娘アンジェラ(アンドレア・ショーバー)と家庭教師のトラウニッツ(マーシャ・メリル)。
母親は癇癪を起しかけるが平静を装う父親と愛人達(アンナ・カリーナ、ウリ・ロメル)。
彼等と別荘の管理人親子(ブリギッテ・ミラ、フォルカー・シュペングラー)を食後の余興として人間関係破壊ゲーム「シナのルーレット」に誘うアンジェラ。
不治の病気で杖無しでは歩けなくなったアンジェラが自分の障害が遠因でギクシャクした両親への屈折した感情をぶつける描写に胸が痛む。
ゴダール映画から移植された美女(カリーナ、メリル)を含めた観目麗しい俳優陣と極めて技巧的なカメラ、常連ペア・ラーベンのスコアで彩られた硬質の心理サスペンス。
ファスビンダー作品のデフォルトで後味は悪いが最悪では無い。
救いと負け惜しみが有る。
2.ペトラ・フォン・カントの苦い涙(’72)
バイ・セクシャルで現在は女性に惹かれている30代モード・デザイナー、ペトラ(マーギット・カーステンゼン)の若い女性カーリン(ハンナ・シグラ)への恋と破局を舞台劇風に。
狭い室内を流麗に動くバルハウスのカメラ、美しい女優陣の屈折した言動と奇抜なファッションが光る。
ファスビンダーによる同名戯曲の映画化。
元はファスビンダーの同性愛を巡る自伝的内容(ペトラ=ファスビンダー、カーリン=ギュンター・カウフマン)だったが、原案の男性を女性に変える事により比較的ストレスなく観賞出来る内容に。
ファスビンダー映画初主演のカーステンゼン、常連女優のハンナ・シグラ、そして後の独映画界の演技派として知られる事となるペトラの娘役、エファ・マッテス(「ヴォイツェク」)が演技を競う。
ペトラとサド・マゾの主従関係である完黙の助手マレーネを演じるイルム・ヘルマンの湿った存在感が出色。
既製楽曲を意識して紋切り型に使う技法も印象的。
3.悪魔のやから(’76)
才能は有るが人間失格の詩人ヴァルター(クルト・ラープ)が盗作疑惑を自分はその詩人の生まれ変わりであると押し通す暴走振りをグロテスクで哄笑的なタッチで描いた珍しい喜劇。
ファスビンダーが映画「マルタ」の為に書いた脚本が盗作で有ると訴えられた経験を基に作られた作品。
エンタープライズ号のアンドロイドの様なメイクのラープと、美貌をケント・デリカットの様な凸レンズ眼鏡で台無しにしたマーギット・カーステンゼン、蝿集めと女性の乳首を握るのが好きなややこしい障害を抱えたヴァルターの弟・エルンストを演じたフォルカー・シュペングラー、ソクラテスの妻的現実感溢れるヴァルターの年長の妻を演じたヘレン・ヴィータ等のアンサンブルが光る。
スラップスティックな物も含め、時には重過ぎて笑えないギャグの連発に困惑。
神の見えざる手への悪意に満ちたパロディ風の人を喰ったエンディングに驚愕。
相変わらず扱う題材は一筋縄では行かないがBOX3,4に比べると劇映画として随分洗練され、特に主演俳優に美男美女が起用される事によって観易くなった印象(3「悪魔〜」は除く)。
特典。
封入ブックレットは字幕も手掛けたドイツ映画史家の渋谷哲也氏と映画評論家・特殊翻訳家の柳下毅一郎氏の詳細かつ読み応えのある解説と、主要キャスト・スタッフのバイオに加えて
1には本BOX作品を全て撮影したミヒャエル・バルハウス、2,3はファスビンダーのインタビューが掲載。
3は自作についてだが、2ではカーフェン、ヘルマン、シグラ、カーステンゼン、ギュンター・カウフマン、そして自分について辛辣な論評を加えている。
映像特典
1に短編Nicolas Ripoche監督(2005年)製作の「ファスビンダーと女たち」収録(25分)。
ファスビンダー映画に登場した様々なヒロインのシーンと、同じく作品中で流れた音楽を再編集したスタイリッシュな作品。
2に予告編5作分収録。
「聖なるパン助に注意」
「悪の神々」
「第三世代」
「マリア・ブラウンの結婚」
「自由の代償」
「第三〜」は現在中断している本BOXシリーズの未収録作品「リリー・マルレーン」、「ローラ」、「デスペア」「マルタ」等と共に是非ソフト化を希望したい。
続けて観賞すると更にファスビンダーが観たいと思わせる中毒性が高いBOX。
後に渡米しスコセーシ監督作で撮影を担当するバルハウスと組んだ、珍しいブラック・ユーモア物、同性愛者や障害を持った子供の為にギクシャクとした裕福な家庭の暗黒面を抉った物等問題作揃い。
1.シナのルーレット(’76)
表面上は理想の夫婦を演じる両親(アレキサンダー・アラーソン、マーギット・カーステンゼン)の浮気を意図的な逢引場所のダブル・ブッキングで白日の下にさらした娘アンジェラ(アンドレア・ショーバー)と家庭教師のトラウニッツ(マーシャ・メリル)。
母親は癇癪を起しかけるが平静を装う父親と愛人達(アンナ・カリーナ、ウリ・ロメル)。
彼等と別荘の管理人親子(ブリギッテ・ミラ、フォルカー・シュペングラー)を食後の余興として人間関係破壊ゲーム「シナのルーレット」に誘うアンジェラ。
不治の病気で杖無しでは歩けなくなったアンジェラが自分の障害が遠因でギクシャクした両親への屈折した感情をぶつける描写に胸が痛む。
ゴダール映画から移植された美女(カリーナ、メリル)を含めた観目麗しい俳優陣と極めて技巧的なカメラ、常連ペア・ラーベンのスコアで彩られた硬質の心理サスペンス。
ファスビンダー作品のデフォルトで後味は悪いが最悪では無い。
救いと負け惜しみが有る。
2.ペトラ・フォン・カントの苦い涙(’72)
バイ・セクシャルで現在は女性に惹かれている30代モード・デザイナー、ペトラ(マーギット・カーステンゼン)の若い女性カーリン(ハンナ・シグラ)への恋と破局を舞台劇風に。
狭い室内を流麗に動くバルハウスのカメラ、美しい女優陣の屈折した言動と奇抜なファッションが光る。
ファスビンダーによる同名戯曲の映画化。
元はファスビンダーの同性愛を巡る自伝的内容(ペトラ=ファスビンダー、カーリン=ギュンター・カウフマン)だったが、原案の男性を女性に変える事により比較的ストレスなく観賞出来る内容に。
ファスビンダー映画初主演のカーステンゼン、常連女優のハンナ・シグラ、そして後の独映画界の演技派として知られる事となるペトラの娘役、エファ・マッテス(「ヴォイツェク」)が演技を競う。
ペトラとサド・マゾの主従関係である完黙の助手マレーネを演じるイルム・ヘルマンの湿った存在感が出色。
既製楽曲を意識して紋切り型に使う技法も印象的。
3.悪魔のやから(’76)
才能は有るが人間失格の詩人ヴァルター(クルト・ラープ)が盗作疑惑を自分はその詩人の生まれ変わりであると押し通す暴走振りをグロテスクで哄笑的なタッチで描いた珍しい喜劇。
ファスビンダーが映画「マルタ」の為に書いた脚本が盗作で有ると訴えられた経験を基に作られた作品。
エンタープライズ号のアンドロイドの様なメイクのラープと、美貌をケント・デリカットの様な凸レンズ眼鏡で台無しにしたマーギット・カーステンゼン、蝿集めと女性の乳首を握るのが好きなややこしい障害を抱えたヴァルターの弟・エルンストを演じたフォルカー・シュペングラー、ソクラテスの妻的現実感溢れるヴァルターの年長の妻を演じたヘレン・ヴィータ等のアンサンブルが光る。
スラップスティックな物も含め、時には重過ぎて笑えないギャグの連発に困惑。
神の見えざる手への悪意に満ちたパロディ風の人を喰ったエンディングに驚愕。
相変わらず扱う題材は一筋縄では行かないがBOX3,4に比べると劇映画として随分洗練され、特に主演俳優に美男美女が起用される事によって観易くなった印象(3「悪魔〜」は除く)。
特典。
封入ブックレットは字幕も手掛けたドイツ映画史家の渋谷哲也氏と映画評論家・特殊翻訳家の柳下毅一郎氏の詳細かつ読み応えのある解説と、主要キャスト・スタッフのバイオに加えて
1には本BOX作品を全て撮影したミヒャエル・バルハウス、2,3はファスビンダーのインタビューが掲載。
3は自作についてだが、2ではカーフェン、ヘルマン、シグラ、カーステンゼン、ギュンター・カウフマン、そして自分について辛辣な論評を加えている。
映像特典
1に短編Nicolas Ripoche監督(2005年)製作の「ファスビンダーと女たち」収録(25分)。
ファスビンダー映画に登場した様々なヒロインのシーンと、同じく作品中で流れた音楽を再編集したスタイリッシュな作品。
2に予告編5作分収録。
「聖なるパン助に注意」
「悪の神々」
「第三世代」
「マリア・ブラウンの結婚」
「自由の代償」
「第三〜」は現在中断している本BOXシリーズの未収録作品「リリー・マルレーン」、「ローラ」、「デスペア」「マルタ」等と共に是非ソフト化を希望したい。
続けて観賞すると更にファスビンダーが観たいと思わせる中毒性が高いBOX。
Downtown: Best of
最初はこのCDを他のペトラのCDの予備(いわゆる普段聞き用)に、要するに他のCDを劣化から守るためにしようと思いました。
そんなことを思った自分に反省です。
知ってる曲も多いし、いきなり「Don’t Sleep In The Subwey」で始まるところ。すごい選曲。
こんなすごくて安いのを普段聞きになんかできません。といいながら今聴いていますが・・・
ペトラの声を聴いていると背筋がピンとしてくる。こういう女性がうらやましいというか私はなりたい。
朝出掛けに聴きたい気もするし、夜ゆっくりとでもいい。
ただやっぱり解説がないのはこのレベルの価格だと仕方ないことかな。
今「Winchester Cathedral」だ。これはすごい。いろんな曲を積極的にカバーしていてそれが楽しい。
やっぱ女性アーティストではペトラがいちばん!
そんなことを思った自分に反省です。
知ってる曲も多いし、いきなり「Don’t Sleep In The Subwey」で始まるところ。すごい選曲。
こんなすごくて安いのを普段聞きになんかできません。といいながら今聴いていますが・・・
ペトラの声を聴いていると背筋がピンとしてくる。こういう女性がうらやましいというか私はなりたい。
朝出掛けに聴きたい気もするし、夜ゆっくりとでもいい。
ただやっぱり解説がないのはこのレベルの価格だと仕方ないことかな。
今「Winchester Cathedral」だ。これはすごい。いろんな曲を積極的にカバーしていてそれが楽しい。
やっぱ女性アーティストではペトラがいちばん!
イースタークラフト (シュタイナー教育クラフトワールド)
キリストの復活を祝う外国のお祭りを、素敵に彩ってみませんか?ゆで卵に絵をかいたり、草花を使って染めたり、、、、そして出来上がったたまごをイースターの日にはおうちのいろんなところに隠して、子供たちでだれがたくさん見つけれるか競争します。一番早くたくさん見つけたこをそれはそれは嬉しそう。春の初めの楽しいイベントですd(^-^)ネ!。
E04 地球の歩き方 ペトラ遺跡とヨルダン 2014~ (ガイドブック)
ペトラや死海に行くのにガイドブックを探しましたが、これしかチョイスがなかった。
案の定、所々に間違いはあったが、これしかないので仕方ないです。
ガイドブックはあくまで参考資料。どれを買っても同じことですよね。
案の定、所々に間違いはあったが、これしかないので仕方ないです。
ガイドブックはあくまで参考資料。どれを買っても同じことですよね。
ペトラ・フォン・カントの苦い涙 [DVD]
冒頭から映し出されるペトラの部屋に飾られた大きな絵。
プッサン作「ミダス王とバッカス」
ファッションデザイナーであるペトラ・フォン・カントがある日出会った
一人の若い女性カーリン。
彼女を愛し、狂わんばかりの嫉妬に襲われるペトラの心理描写が上手い。
室内劇で外は出ないけど、電話や新聞、雑誌を巧みに使い外を想像させる。
秘書のマレーネは無口だけど、ペトラに始終寄り添っている。
しかし、そんなマレーネも最後に見せる自己主張。
シリアスだけど、なんだかユーモラスな構成。
「マリア・ブラウンの結婚」で一躍世界的に有名になったハンナ・シグラが
小悪魔カーリンを演じている。
主人公ペトラはマーギット・カーステンゼン。
秘書マレーネにイルム・ヘルマン。この映画のクラシカルな髪型は印象的。
全員、監督のライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの秘蔵っ子だ。
ファスビンダー自身の舞台劇の映画化。
彼自身公言してやまないゲイだった。
女性同士の恋愛に置き換えて作られたが、男性同士、異性間の恋愛にも
あてはまる普遍的な内容。
観た後に私は、むせび泣いた。
孤独な人が求めていた癒しが、この映画にはある。
プッサン作「ミダス王とバッカス」
ファッションデザイナーであるペトラ・フォン・カントがある日出会った
一人の若い女性カーリン。
彼女を愛し、狂わんばかりの嫉妬に襲われるペトラの心理描写が上手い。
室内劇で外は出ないけど、電話や新聞、雑誌を巧みに使い外を想像させる。
秘書のマレーネは無口だけど、ペトラに始終寄り添っている。
しかし、そんなマレーネも最後に見せる自己主張。
シリアスだけど、なんだかユーモラスな構成。
「マリア・ブラウンの結婚」で一躍世界的に有名になったハンナ・シグラが
小悪魔カーリンを演じている。
主人公ペトラはマーギット・カーステンゼン。
秘書マレーネにイルム・ヘルマン。この映画のクラシカルな髪型は印象的。
全員、監督のライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの秘蔵っ子だ。
ファスビンダー自身の舞台劇の映画化。
彼自身公言してやまないゲイだった。
女性同士の恋愛に置き換えて作られたが、男性同士、異性間の恋愛にも
あてはまる普遍的な内容。
観た後に私は、むせび泣いた。
孤独な人が求めていた癒しが、この映画にはある。