ベニスに死す/オリジナル・サウンドトラック盤
アメリカから取り寄せた映画「ベニスに死す」のサントラCD。少し待ちましたが、キレイな状態でちゃんと届きました。早速聴いてみました…映画「ベニスに死す」と言えば、ご存知マーラーですが、他のマーラーのCDと聴き比べてみても、このサントラ版のほうが良かったです。まず1曲目…メインテーマの「アダージェット」…目を閉じるとグスタフ(主人公)が登場する、あの印象的なシーンが鮮明に浮かんで来ます!クラシック音楽は、聴き比べると良くわかるのですが演奏者や指揮者が違ければ、まったく違うテイストになりますよね。さすがは審美眼に定評のあるルキーノ・ヴィスコンティ監督が選んだ良く出来た演奏だなぁ…と思いました。しいて難を言えば、曲数が少ない(6曲)…まぁこれはサントラだから仕方ないですかね。ただし!3曲目の陽気な音楽隊(映画館の中盤に出て来る帽子をアミダに被った旅芸人の一座)の曲は、明らかに映画から落としたデキの悪い粗悪品。いわゆる捨て曲でした。最後の曲(エンドタイトル)は、美しい歌声が素晴らしい出来映え。また2曲目の海辺で上品な婦人が唄う(映画の最後のほうに出て来るあの印象的な歌)…あれは良かった!この曲は、このサントラ版じゃないと聴けないです。…と言うわけで、まずまずの出来かなぁと思いました。我らがビョルン・アンドレセン(笑)の写真も入ってファンなら、持っててソンは無いかも知れません。
Luchino Visconti Presents The Original Motion Picture Soundtrack From The Film Death In Venice
この映画を初めて見たとき、まさかこの音楽が既成曲だったとは思いもしませんでした。それだけ、映像にマッチしていたからです。これほど、的確に既成曲を使用できる監督がいるのでしょうか。
それ以来、マーラーの第五交響曲第四楽章アダージェットは、このサントラの音源でなければ、どうも雰囲気が感じられなくなってしまったのです。
とにかく、じっと聴いてみてください。きっと、ヴィスコンティの世界に浸ることができると思います。
それ以来、マーラーの第五交響曲第四楽章アダージェットは、このサントラの音源でなければ、どうも雰囲気が感じられなくなってしまったのです。
とにかく、じっと聴いてみてください。きっと、ヴィスコンティの世界に浸ることができると思います。
ベニスに死す〈ニューマスター版〉 [VHS]
この作品は、何度も再発されてますが、店頭では毎回すぐ売れてしまいます。 何度見ても…また見たくなる。不思議な魅力溢れるのは、やはりタジオ役のビョルン・アンドルセン。少年と青年の境目の年ごろ。 最近、50代になったビョルンの写真をみました。 この作品の彼が、一番輝いていた。だから、もう今となっては銀幕の上でしか お目にかかれません。
ベニスに死す [DVD]
全編美しい映画で絵画のような印象を与える傑作です。
中でも主人公を死に誘うようなタジオ=ヴョルン・アンドレセンの美しさと
冷たい仕草が良く話題になりますが、
個人的にはやはり美少年に惑い、最後悲劇的(喜劇的でもある)に死んでいく
音楽家アッシェンバッハ=ダーク・ボガード氏の演技が素晴らしいです。
タジオを見てからの初恋の少年のような戸惑い、思い切って諦める為に
ベニスから去ろうとしたものの手違いでベニスに残ることになった時の歓喜(!)
自分の死を自覚した時の絶望…。
ほとんど台詞は無く仕草と顔の表情で表現しているのがすごいです。
この映画そのものはアッシェンバッハの一生涯を追いかけている構成でありまして
所々に挿入される回想シーンでの子供と戯れる父親の彼の姿は
その後の人生の残酷さを感じましていつ見ても泣けます。
この映画に出演した後にボガード氏は
「これ以上の演技の出来る映画はないだろう」と語ったそうですが
確かにアッシェンバッハを演じられるのに一生涯分の感情を使われたと思います。
余談ですが、指摘されるまでボガード氏が「地獄に墜ちた勇者ども」の
フリードリヒも演じられていたとは気がつきませんでした。
(全然印象が違います)
上映されてから三十数年、
ボガード氏始め出演者の大半は鬼籍に入りベニスも変わりました。
しかしこの映画の美しさはいつまでも変わらないでしょう。
中でも主人公を死に誘うようなタジオ=ヴョルン・アンドレセンの美しさと
冷たい仕草が良く話題になりますが、
個人的にはやはり美少年に惑い、最後悲劇的(喜劇的でもある)に死んでいく
音楽家アッシェンバッハ=ダーク・ボガード氏の演技が素晴らしいです。
タジオを見てからの初恋の少年のような戸惑い、思い切って諦める為に
ベニスから去ろうとしたものの手違いでベニスに残ることになった時の歓喜(!)
自分の死を自覚した時の絶望…。
ほとんど台詞は無く仕草と顔の表情で表現しているのがすごいです。
この映画そのものはアッシェンバッハの一生涯を追いかけている構成でありまして
所々に挿入される回想シーンでの子供と戯れる父親の彼の姿は
その後の人生の残酷さを感じましていつ見ても泣けます。
この映画に出演した後にボガード氏は
「これ以上の演技の出来る映画はないだろう」と語ったそうですが
確かにアッシェンバッハを演じられるのに一生涯分の感情を使われたと思います。
余談ですが、指摘されるまでボガード氏が「地獄に墜ちた勇者ども」の
フリードリヒも演じられていたとは気がつきませんでした。
(全然印象が違います)
上映されてから三十数年、
ボガード氏始め出演者の大半は鬼籍に入りベニスも変わりました。
しかしこの映画の美しさはいつまでも変わらないでしょう。
トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す (新潮文庫)
私は芸術を鑑賞するのは好きだが、トニオのように自分でヴァイオリンを弾くこともできないし、詩を書くわけでもない。それにもかかわらず、彼の孤独は痛いほどよく分かる。それはまぎれもない芸術家の孤独だ。芸術家でない者がこの孤独を共有することができるのは、それがきっとすべての人間に共通のものだからだろう。人は誰でも程度の差はあれ芸術家なのだ。それは、この本が出版後100年経った今でも多くの人に愛され続けているという事実が証明している。
私はこの本を大学教養課程のドイツ語の時間に初めて読んだ。この本の本当の美しさはドイツ語で読むとよりよく分かる。ドイツ語が出来る人は是非チャレンジしてほしい。翻訳でそのドイツ語の雰囲気をよく出しているのは、岩波文庫の実吉訳の方だろう。あの北杜夫も絶賛したという実吉訳の文体は直訳に近いが決して読みにくくはない。トーマス・マンの文体がもつリズムを忠実に再現していると思う。
私はこの本を大学教養課程のドイツ語の時間に初めて読んだ。この本の本当の美しさはドイツ語で読むとよりよく分かる。ドイツ語が出来る人は是非チャレンジしてほしい。翻訳でそのドイツ語の雰囲気をよく出しているのは、岩波文庫の実吉訳の方だろう。あの北杜夫も絶賛したという実吉訳の文体は直訳に近いが決して読みにくくはない。トーマス・マンの文体がもつリズムを忠実に再現していると思う。