原田康子さんのベストセラー、満月のビデオです。
週刊朝日に連載されていたときから知っています。
お話をまとめるために、原作とは少しプロットが変ってはおりますが、
江戸時代からやってきた、武芸に秀で、心根のまっすぐな小弥太さまのかっこよさ。まっすぐなあまりの切なさ。彼を愛する現代の女先生も、やっぱりまっすぐで切ない。
DVD化されていないのが大変残念ですが、是非、テレビ放映して、今の若い方たちにも楽しんでもらいたい佳作だと思います。
なかなか商品の見つからない中、中古で良い商品が手に入ってうれしかったです。
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お話をまとめるために、原作とは少しプロットが変ってはおりますが、
江戸時代からやってきた、武芸に秀で、心根のまっすぐな小弥太さまのかっこよさ。まっすぐなあまりの切なさ。彼を愛する現代の女先生も、やっぱりまっすぐで切ない。
DVD化されていないのが大変残念ですが、是非、テレビ放映して、今の若い方たちにも楽しんでもらいたい佳作だと思います。
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海霧(上) (講談社文庫)
本書は、400ページ以上もある文庫。しかも上、中、下3冊のうちの1冊目。
長編を読む楽しみのひとつは、作者が主人公の人格をこつこつ作りあげる過程をいっしょに楽しむことです。
ロマン・ローランの『ジャン・クリストフ』もそうでした。あの情熱のかたまりのような主人公を造形するために、ロマン・ローランが、3巻も4巻もページを重ねたことを思い出します。
本書の主人公である幸吉は、幕末の佐賀に生まれます。米問屋に奉公しながら算術を身につけ、石炭を掘る鉱山でたくましい体を作りました。石炭という新しい時代の産物にほれ込んだ幸吉は、広大なエゾ地へ渡り、明治を迎えるまでのわずかな期間、オソツナイの炭鉱で働きます。
佐賀でお世話になった奉公先を頼っていったん函館にもどった幸吉は、道東の漁場で商売をはじめる商店の責任者となることを乞われ、ふたたび辺境の地、久寿里(クスリ)へ赴きました。
近隣から頼られるたくましい青年となった幸吉は、恋女房との新婚生活を送りながら、いずれ独立する道を志向します。石炭への思いがつのる幸吉は、この先どんな人生を送ろうとするのか……。
裏表紙に「幕末から明治、昭和へと、激動の時代をひたむきに生きた著者の血族を描いた物語」とあります。著者の原田康子氏はことし80歳ですので、主人公のモデルは著者の祖父か曾祖父にあたるのでしょう。
私は北海道の開拓地に育ちましたので、「広大な未開の地にあって、己の力と才覚で新しい人生を切り開いていく」という物語に強くひかれます。
明治初期の厳寒の地を舞台にしており、やや暗い雰囲気を漂わせていますが、淡々と進む物語と、一人ひとりの人物の描写の的確さは、決して読者を飽きさせません。
吉川英治文学賞受賞というお墨付きです。
きっと、中と下も、読み応えのある内容にちがいありません。
長編を読む楽しみのひとつは、作者が主人公の人格をこつこつ作りあげる過程をいっしょに楽しむことです。
ロマン・ローランの『ジャン・クリストフ』もそうでした。あの情熱のかたまりのような主人公を造形するために、ロマン・ローランが、3巻も4巻もページを重ねたことを思い出します。
本書の主人公である幸吉は、幕末の佐賀に生まれます。米問屋に奉公しながら算術を身につけ、石炭を掘る鉱山でたくましい体を作りました。石炭という新しい時代の産物にほれ込んだ幸吉は、広大なエゾ地へ渡り、明治を迎えるまでのわずかな期間、オソツナイの炭鉱で働きます。
佐賀でお世話になった奉公先を頼っていったん函館にもどった幸吉は、道東の漁場で商売をはじめる商店の責任者となることを乞われ、ふたたび辺境の地、久寿里(クスリ)へ赴きました。
近隣から頼られるたくましい青年となった幸吉は、恋女房との新婚生活を送りながら、いずれ独立する道を志向します。石炭への思いがつのる幸吉は、この先どんな人生を送ろうとするのか……。
裏表紙に「幕末から明治、昭和へと、激動の時代をひたむきに生きた著者の血族を描いた物語」とあります。著者の原田康子氏はことし80歳ですので、主人公のモデルは著者の祖父か曾祖父にあたるのでしょう。
私は北海道の開拓地に育ちましたので、「広大な未開の地にあって、己の力と才覚で新しい人生を切り開いていく」という物語に強くひかれます。
明治初期の厳寒の地を舞台にしており、やや暗い雰囲気を漂わせていますが、淡々と進む物語と、一人ひとりの人物の描写の的確さは、決して読者を飽きさせません。
吉川英治文学賞受賞というお墨付きです。
きっと、中と下も、読み応えのある内容にちがいありません。