マリア・カラス (叢書・20世紀の芸術と文学)
1~4章は、思弁的な記述やペダンティックな引用など、なにやらもったいぶっているが、その後は最後まで、カラスのキャリアに沿って、活動が記述される。とりたてて卓見はなかった。しかし、良心的な本である。第3刷を読んだが、誤りをいくつか。
p.62下、オードン{イギリスの作家}、は、詩人オーデンのこと
p.80下、ガルボ主演の「カミーユ」に付けた勘違った訳注。もちろん映画(1936年MGM)のことである
p.199 ベット・デイヴィスは、ベティー。しかし彼女の名前はバルザックの『従姉ベット』に由来すると言われてはいるが。
p.267 スヴェンガリ、には訳注が必要では? 岩田宏『渡り歩き』(草思社)参照。
しかしこれらは瑕瑾であり、原文に忠実に沿った丁寧できまじめな訳には非常に好感が持てた。昨今流行の適当に分かりやすく水増したものとは一線を画するもの。何より、久々に「メデア」を聞き直そう、とか、著者が最高と言っているカラヤン版の「ルチア」を聴いてみよう、とか、促してくれる力を持った本だった。
p.62下、オードン{イギリスの作家}、は、詩人オーデンのこと
p.80下、ガルボ主演の「カミーユ」に付けた勘違った訳注。もちろん映画(1936年MGM)のことである
p.199 ベット・デイヴィスは、ベティー。しかし彼女の名前はバルザックの『従姉ベット』に由来すると言われてはいるが。
p.267 スヴェンガリ、には訳注が必要では? 岩田宏『渡り歩き』(草思社)参照。
しかしこれらは瑕瑾であり、原文に忠実に沿った丁寧できまじめな訳には非常に好感が持てた。昨今流行の適当に分かりやすく水増したものとは一線を画するもの。何より、久々に「メデア」を聞き直そう、とか、著者が最高と言っているカラヤン版の「ルチア」を聴いてみよう、とか、促してくれる力を持った本だった。
コベントガーデンのマリア・カラス〈クラシ [VHS]
1962年11月4日のコンサートの、ドン・カルロ~世のむなしさを知る神とカルメンのハバネラとセギディーリャ(指揮ジョルジュ・プレートル)、そして64年2月9日、ゼフィレッリ演出のトスカ第2幕(指揮カルロ・フェリーチェ・チラーチオ、カヴァラドッシ役レナート・チオーニ)が入っています。前半3曲はともかく、後半のトスカに関しては、声や演技の迫力も、カメラの撮り方も、映像の質もとても良く、完璧で、その後「歌に生き、恋に生き」に入っている58年のパリ・オペラ座のトスカの魅力がほとんど感じられなくなるほどでした。
マリア・カラスの真実 [DVD]
私のようにあまりオペラに詳しくなくても、充分堪能できるドキュメンタリー映画です。
同じ女として、マリア・カラスの生涯に、心を打たれました。
心が折れるというか、まるで、ギリシャ悲劇のような彼女の愛の一生。
輝ける美と実力と名声と富を得た、ディーヴァの人生の光と影が、克明に綴られたドキュメンタリーです。
彼女の両親は、ギリシャ系移民で、カラスはNY育ち。彼女の生い立ち、一生続いた母親との確執は、私が初めて知った側面です。
10代の頃の歌声や、全盛期の映像と歌、生涯で2度の変身を遂げるカラスなど見所は満載。
彼女が初めて本物の愛を知った、海運王オナシスとの悲恋があまりにも切なく、胸が痛みます。オナシスの男子を出産後、すぐに子供が死亡。その事実を隠して人前に出なければならなかったカラス。この時の映像が、あまりにも痛々しい。オナシスとの愛の悲劇の序章です。
また、ヴィスコンティ監督とのTV番組の対談の映像や、カラスの最初の夫との新婚時代の映像、モナコのグレース王妃などあらゆるセレブリティ達の姿も見られるので、その部分も充分堪能できると思います。パゾリーニ監督の「王女メディア」のメイキング、マスタークラスの映像もあります。
同じ女として、マリア・カラスの生涯に、心を打たれました。
心が折れるというか、まるで、ギリシャ悲劇のような彼女の愛の一生。
輝ける美と実力と名声と富を得た、ディーヴァの人生の光と影が、克明に綴られたドキュメンタリーです。
彼女の両親は、ギリシャ系移民で、カラスはNY育ち。彼女の生い立ち、一生続いた母親との確執は、私が初めて知った側面です。
10代の頃の歌声や、全盛期の映像と歌、生涯で2度の変身を遂げるカラスなど見所は満載。
彼女が初めて本物の愛を知った、海運王オナシスとの悲恋があまりにも切なく、胸が痛みます。オナシスの男子を出産後、すぐに子供が死亡。その事実を隠して人前に出なければならなかったカラス。この時の映像が、あまりにも痛々しい。オナシスとの愛の悲劇の序章です。
また、ヴィスコンティ監督とのTV番組の対談の映像や、カラスの最初の夫との新婚時代の映像、モナコのグレース王妃などあらゆるセレブリティ達の姿も見られるので、その部分も充分堪能できると思います。パゾリーニ監督の「王女メディア」のメイキング、マスタークラスの映像もあります。