今までまったく知らなかったとてもすばらしい世界がここに有りました。このようなすばらしい作品の数々をこんな年齢（57歳！）になる今まで知らなかったというのは本当に迂闊でした。おそらく外国での知名度のほうが高かったのではないでしょうか。日本人として情けないです。ケンジントン宮殿のダイアナ妃の書斎の壁に吉田博氏の版画が二点も飾られていたというエピソードはとても感慨深いものでした。

　まだレビューされた方がいないので、遅くなりましたが書き込みたいと思います。

　２枚あるカバーアルバムから一曲も選ばれていないのが個人的には大変に残念ですが（カバーアルバムも絶品デスヨ）、

　山弦が出した３枚のフルアルバムからとても良いバランスで曲が選ばれていると思います。

　また、サウンド的にもデジタルリマスターされた効果は充分。一つ一つの音が力強くはっきりと聞こえます。

　ただ、あまり山弦を知らない方の為には、もう少し細かい解説があったらなぁ..　

　それでも、あまり有名ではない山弦のベスト盤をこの値段で発売してくださったレコード会社様には、足を向けて寝られない！！

　なぜベスト盤に選ばれなかったのかと思う曲もまだまだありますので、これをきっかけにオリジナルアルバムを聴いてくださる方が増える事を

　夜空に向かって祈りたいと思います。

近未来の東京。月から戻ってきた宇宙飛行士は、逆行性健忘症で、長期間精神病院に入院していた。彼を気にかける担当看護婦黄慧英と、担当省庁の石切課長。少しずつ記憶を取り戻す宇宙飛行士が思い出したものとは……？

冷静で論理的な筆致で、少し現実離れした幻想的な内容を書いていく、やや矛盾した絶妙なバランス感覚が日野啓三の文章の凄さだと思いますが、本書もその「らしさ」が良く出た好著です。近未来の東京に捧げるオマージュのようでもあり、生とは何か、人間存在とは何かを、深く追究する筆者の試みがじかに感じられもします。広大な宇宙と地球の、無限の時空の中で、わずか一瞬の生を得て輝く、人間の哀しくも美しい姿を描き出す作品です。