青桐
芥川賞を受賞した表題作と、それ以前に発表された『白い原』の中編2編が収められている。
表題作はさすがになかなかいい印象を残す作品だった。考えてみれば、叔母が乳がんであるにもかかわらず、医者にかかろうともせず故郷の家(離れ)で死を迎えようとする理由は、明確には書かれていないし、若い頃の叔母の田舎では珍しい颯爽とした感じとも合わないようにも思える。しかし、それが何となく納得させられてしまうようなところがあった。動物のひそやかな死になぞらえるその死に方、そして主人公允江が幼少のころ受けた顔の傷に対する思いが、うまく溶け合って一つの世界を作っているという感じだ。
『白い原』の方は表題作より短い小説だが、変な話だった。新興宗教と結婚話のからめたストーリーは、皮肉なユーモア小説といったところだが、書き方がちょっとミスマッチな感じがした。
表題作はさすがになかなかいい印象を残す作品だった。考えてみれば、叔母が乳がんであるにもかかわらず、医者にかかろうともせず故郷の家(離れ)で死を迎えようとする理由は、明確には書かれていないし、若い頃の叔母の田舎では珍しい颯爽とした感じとも合わないようにも思える。しかし、それが何となく納得させられてしまうようなところがあった。動物のひそやかな死になぞらえるその死に方、そして主人公允江が幼少のころ受けた顔の傷に対する思いが、うまく溶け合って一つの世界を作っているという感じだ。
『白い原』の方は表題作より短い小説だが、変な話だった。新興宗教と結婚話のからめたストーリーは、皮肉なユーモア小説といったところだが、書き方がちょっとミスマッチな感じがした。