ペット リマスター・エディション 1 (BEAM COMIX)
読み始めてすぐにあるカラーページでそれとわかるように、この『ペット』は、小学館から出て完結した同作品のリマスター・エディションです。
前のバージョンでも『ペット』が傑作であることには、変わりないのだけれど、描き切れていないことを感じる終わり方で、残念だったことをおもいだします。
”ベイビー”の行く末とかね。
この作品の紹介をすると、
”人の心のハッキングを生業(なりわい)とする能力者たちとその能力を裏の仕事につかい、汚い金を稼ぐ会社。……能力者たちが自分に目覚めたとき、自由を求める闘いがはじまった。……かつてないサイキックホラー云々”
となるのですが、このあらすじは間違ってはいない。間違っているとは思わないけど、おもしろさを十分の一もつたえられていない自信はある。
『ペット』のすごさは、あらすじを書きにくさとカテゴライズのしずらさにも表れている。
この傑作を連載で読んでいるときに、すごい! と感じたのは、たとえば”桂木”という人物の造形です。
他者との共感が鍵であるこのストーリーの中で、”桂木”を、人の心を雑に扱うイヤな上司の典型として、途中まで読んでいました。
そして、人物の造形が甘いなと感じていました。
それは、仮にも”潰し屋”といわれ、人の心をあやつる能力者の桂木は、他者への共感がすぐれていなくては、ならないからです。すくなくとも、雑では成り立たないのです。
でも、ぜんぜん違った。甘いのは、僕でした。
物語の終盤(このリマスターエディションでは、まだ発売されていない部分)、桂木の”記憶”が、あきらかになるのですが、十分な説得力にガツンとやられました。
それまで、脇役だからキチンと描かれていないと感じていた桂木が立体的になり、この物語の陰の主人公だったことがわかりました。
桂木でさえ一例です。他の人物、人間関係もリアル。物語の構成も深く濃い。
多分、この作家のすごさは、現実の社会とか人間関係をガバッと捕まえ、それを表現できることです。
このガバッが、たとえチョロでも、それを表現できたら一流です……
ああ、ガバッとかチョロとか、もうなんの紹介にもなっていませんね。
『ぶっせん』→『ペット』→『イムリ』
三宅乱丈さんのまんが力は、飛び抜けている。
傑作。おすすめ。
前のバージョンでも『ペット』が傑作であることには、変わりないのだけれど、描き切れていないことを感じる終わり方で、残念だったことをおもいだします。
”ベイビー”の行く末とかね。
この作品の紹介をすると、
”人の心のハッキングを生業(なりわい)とする能力者たちとその能力を裏の仕事につかい、汚い金を稼ぐ会社。……能力者たちが自分に目覚めたとき、自由を求める闘いがはじまった。……かつてないサイキックホラー云々”
となるのですが、このあらすじは間違ってはいない。間違っているとは思わないけど、おもしろさを十分の一もつたえられていない自信はある。
『ペット』のすごさは、あらすじを書きにくさとカテゴライズのしずらさにも表れている。
この傑作を連載で読んでいるときに、すごい! と感じたのは、たとえば”桂木”という人物の造形です。
他者との共感が鍵であるこのストーリーの中で、”桂木”を、人の心を雑に扱うイヤな上司の典型として、途中まで読んでいました。
そして、人物の造形が甘いなと感じていました。
それは、仮にも”潰し屋”といわれ、人の心をあやつる能力者の桂木は、他者への共感がすぐれていなくては、ならないからです。すくなくとも、雑では成り立たないのです。
でも、ぜんぜん違った。甘いのは、僕でした。
物語の終盤(このリマスターエディションでは、まだ発売されていない部分)、桂木の”記憶”が、あきらかになるのですが、十分な説得力にガツンとやられました。
それまで、脇役だからキチンと描かれていないと感じていた桂木が立体的になり、この物語の陰の主人公だったことがわかりました。
桂木でさえ一例です。他の人物、人間関係もリアル。物語の構成も深く濃い。
多分、この作家のすごさは、現実の社会とか人間関係をガバッと捕まえ、それを表現できることです。
このガバッが、たとえチョロでも、それを表現できたら一流です……
ああ、ガバッとかチョロとか、もうなんの紹介にもなっていませんね。
『ぶっせん』→『ペット』→『イムリ』
三宅乱丈さんのまんが力は、飛び抜けている。
傑作。おすすめ。
舞台「ぶっせん」 DVD
少々値が張るので 買うのに躊躇しましたが、本編も特典映像もたーっぷり、お値段以上の観応えがありました。
買ってよかったです。
本編は笑えるところもあり、正直笑えないところもあり(^^;)
出演者の熱演ぶりはよく伝わってきました。
また、ドラマには無かった「仏教とは何ぞや」という教え(悟り?)が随所に盛り込まれていたのと、
後半の仏教ミュージカルが素晴らしかったです。
特典映像は、主演の吉沢さん中心なのかな、と思っていた(期待していた)のですが、出演者全員 ほぼまんべんなく映っていました(笑)
稽古のシーンでは、皆にダンスを指導をする平間壮一さんが最も輝いていました。
アフタートークイベントは、桐山さん・平間さん・中別府さん・佐々木さん・安川さんの回が収録されていました。面白すぎました(笑)
買ってよかったです。
本編は笑えるところもあり、正直笑えないところもあり(^^;)
出演者の熱演ぶりはよく伝わってきました。
また、ドラマには無かった「仏教とは何ぞや」という教え(悟り?)が随所に盛り込まれていたのと、
後半の仏教ミュージカルが素晴らしかったです。
特典映像は、主演の吉沢さん中心なのかな、と思っていた(期待していた)のですが、出演者全員 ほぼまんべんなく映っていました(笑)
稽古のシーンでは、皆にダンスを指導をする平間壮一さんが最も輝いていました。
アフタートークイベントは、桐山さん・平間さん・中別府さん・佐々木さん・安川さんの回が収録されていました。面白すぎました(笑)
イムリ 15 (ビームコミックス)
SF作品、ですが「サイエンス」部分はほとんどなくて、民族学的、土着的な匂いと手触りが際立った作品です。
「双子」や「夢」をモチーフに、星、民族、人々が二項対立の歴史・人生を描きつつ、血みどろの戦いを展開します。
『イムリ』の魅力は、なんといっても、優しくて正義漢で、感情移入しやすい主人公デュルクと、デュルクと共に戦う特殊能力民族(とでも呼びたくなる民族)イムリたちの自然との交流のあたたかさです。
張りつめたストーリー展開のなか、イムリたちのユーモラスな挿話が非常に印象的で、読後、ふと石を拾っては「でろでろ」したくなる、なんて読者も多いのではないでしょうか?(笑)
14〜15巻では、デュルクとミューバ、チムリとミムリ、二組の双子の命運が対照的で、ハラハラします。
片方は大切な仲間を得て結束を深め、もう片方は刻々と孤立していく。
この先、いったいどうなるのか。続きが読みたくてたまらない、現在、物語は佳境でございます。
なので、街に飛び出しては「促迫! 人類! イムリの読者になりなさい!」なんてことを云いたくなってくるのですが(笑)、まずは絵柄で、さらに独特の表現力・世界観で、読者を選ぶ作品でしょうね。
特に、臓物が飛び散る壮絶サイキックバトル描写は、ファンタジー系のSF作品が好きな読者には受け入れ難いのかもしれません。
しかし残酷描写に安らぎをおぼえるタイプの読者にとっては、これ以上ないほどの爽快感を与えてくれる、最高の血みどろ劇でもあるのです。『寄生獸』の人体破壊描写に感じる気持ち良さに、似ているかもしれませんね。
また、初期段階からきっちりと置かれている布石が、パズルがはまるように回収されていく展開も、良質なミステリ小説を読んでいるような心地良さです。
なんとなく、昭和生まれの大人読者たちにこそ薦めたい、古典的な正義感が非常に気持ち良い作品です。すばらしい。面白い。
・・・なので、「命令」まではしませんが、「促迫! みんな『イムリ』を読みなさい!」・・・なのです(笑)
「双子」や「夢」をモチーフに、星、民族、人々が二項対立の歴史・人生を描きつつ、血みどろの戦いを展開します。
『イムリ』の魅力は、なんといっても、優しくて正義漢で、感情移入しやすい主人公デュルクと、デュルクと共に戦う特殊能力民族(とでも呼びたくなる民族)イムリたちの自然との交流のあたたかさです。
張りつめたストーリー展開のなか、イムリたちのユーモラスな挿話が非常に印象的で、読後、ふと石を拾っては「でろでろ」したくなる、なんて読者も多いのではないでしょうか?(笑)
14〜15巻では、デュルクとミューバ、チムリとミムリ、二組の双子の命運が対照的で、ハラハラします。
片方は大切な仲間を得て結束を深め、もう片方は刻々と孤立していく。
この先、いったいどうなるのか。続きが読みたくてたまらない、現在、物語は佳境でございます。
なので、街に飛び出しては「促迫! 人類! イムリの読者になりなさい!」なんてことを云いたくなってくるのですが(笑)、まずは絵柄で、さらに独特の表現力・世界観で、読者を選ぶ作品でしょうね。
特に、臓物が飛び散る壮絶サイキックバトル描写は、ファンタジー系のSF作品が好きな読者には受け入れ難いのかもしれません。
しかし残酷描写に安らぎをおぼえるタイプの読者にとっては、これ以上ないほどの爽快感を与えてくれる、最高の血みどろ劇でもあるのです。『寄生獸』の人体破壊描写に感じる気持ち良さに、似ているかもしれませんね。
また、初期段階からきっちりと置かれている布石が、パズルがはまるように回収されていく展開も、良質なミステリ小説を読んでいるような心地良さです。
なんとなく、昭和生まれの大人読者たちにこそ薦めたい、古典的な正義感が非常に気持ち良い作品です。すばらしい。面白い。
・・・なので、「命令」まではしませんが、「促迫! みんな『イムリ』を読みなさい!」・・・なのです(笑)