またまた登場するファウンド・フッテージ型のホラーです。
製作・脚本そして監督を務めているのはバリー・レビンソンなる人物...
この低予算のゲテモノホラーのクリエイターが”あの”バリー・レビンソンと結びつくはずもなく、当然別人だと思ってました。
が、まぎれもなく80年代に「ナチュラル」や「レインマン」「グッドモーニング・ヴェトナム」と話題作を次々に世に送り出したあのお方です。
近年はTVの方に軸足を移しておられるようですが...まさかこんな作品を送り出してくるとは。

物語は2009年にアメリカ、メリーランド州の小さな港町チェサピーク・ベイで突如発生した集団感染による混乱を扱ったドキュメンタリーとなっております。
政府による感染隔離と証拠隠滅により隠ぺいされてきた真実を現地で当時取材にあたったニュースリポーターの女性がネットを通じて公開する...。
様々な場所・人々によって撮影されていたビデオ映像などから浮かび上がった恐るべき事実とは…。

とまぁ良くあるお話ですし、ドキュメンタリー要素の使い方も昨今では特に珍しくもない訳ではあります。
しかし本作、悪くない出来です。
何故なんだろうと考えるとやはり「見易さ」のおかげかなと感じました。
ファウンド・フッテージ型ですから細切れのフッテージの寄せ集めとも言えます。
その為、この形式の作品の多くはクライマックスにバタバタと見せ場が続くだけで序盤から中盤辺りまではとかく退屈だったりします。

しかし本作はそれ以前に、既にレポーター女史の手で編集がなされている（形式）をとっているおかげでドキュメンタリー感は生かされつつも語り口は思いの外スムーズ。
結果として突然変異した寄生虫（笑）によるアウトブレイクの発生から阿鼻叫喚の事態の展開までを集中して目撃する気分を味わえます。
これは全体の構成や編集が巧いおかげなのですが、この辺りはさすがに数多ある同形式の青臭い低予算B級ホラー映画群とは違う熟練の技を感じました。

グロいシーンはそれほど多くなく抑制が利いてますが様々な監視モニターが捉えたショッキングな映像は中々にリアル。
只のしょぼいゲテモノB級ホラーと思って過大に期待せずに観れば意外と楽しめるのではないでしょうか。