自由訳 般若心経
般若心経は仏典では一番なじみのあるお経である。葬式でもよく唱えられている。だから内容を知りたくなるお経でもある。
10数年前、アメリカカリフォルニア州西海岸のヒッピーが訳したとされる英訳の和訳の般若心経を読んだことがある。なんという名訳だったことか! ただそれでも空(くう)の概念がいま一つ曇っていた。桑田次郎のマンガによる解説書を読んだ。なんという名解説だったことか! 再び原典に沿った訳文が読みたくなった。
「自由訳 般若心経」は作詞家でもある著者らしく、邪魔にならない程度に解説を交えて、分かりやすく、そして感動的に、ヴィジュアルに訳されていた。
永遠の哲学であり、進歩している般若心経の姿を見た。われわれは苦から逃れる道を求めている。その智恵を授けてくれる本がいい本である。彼岸へ至らせてくれる導きの言葉が欲しいのだ。「宇宙大河の一滴」であることに気づくこと。それが本書と訳者からのメッセージ。
10数年前、アメリカカリフォルニア州西海岸のヒッピーが訳したとされる英訳の和訳の般若心経を読んだことがある。なんという名訳だったことか! ただそれでも空(くう)の概念がいま一つ曇っていた。桑田次郎のマンガによる解説書を読んだ。なんという名解説だったことか! 再び原典に沿った訳文が読みたくなった。
「自由訳 般若心経」は作詞家でもある著者らしく、邪魔にならない程度に解説を交えて、分かりやすく、そして感動的に、ヴィジュアルに訳されていた。
永遠の哲学であり、進歩している般若心経の姿を見た。われわれは苦から逃れる道を求めている。その智恵を授けてくれる本がいい本である。彼岸へ至らせてくれる導きの言葉が欲しいのだ。「宇宙大河の一滴」であることに気づくこと。それが本書と訳者からのメッセージ。
老子―自由訳
「老子」の本文を読んで(または眺めて)いると、初めは分からないことが多いが、そのうちに少しずつ読み取れるようになる。それをある程度繰り返した時に、たとえばこの本を読むと、あっそうか、ここはそう読むのか、そういう意味なのか、などと教えられたり、待てよ、そこはちょっと違うんじゃない、などと思うことがある。
「老子」は奥が深く幅も広いので、その読み方は、人様々になることが多い。この本も、新井満風老子の読み方を示してくれる。新井さんは、如何に生きるかを中心に読み取っている。私は、他にも、加島祥造さん、伊藤淳子さんなどの「老子」の読み方に接して、自分の読み方を鍛えさせてもらってきた。
書物は、多少なりともそんな読み方、つまり知識を得るよりも自分の知恵を鍛えるような読み方をするのが良いと思うのだが、とりわけ「老子」は、そんな読み方が相応しい。新井満風老子(の読み方)に、読者それぞれの老子理解をぶつけながら読んでみると、新井さんの上を行くことすらできるかも知れない。「老子」とこの「自由訳−老子」はそんな本だと思う。
所々に挿入された自由訳の一片を添えた美しい写真。環境映像を手がける新井さんだけに美しい。が、それ故にいかにも割り込んでいる感じで、読むリズムがしばしば削がれ、冒頭にグラビア風にまとめるなどの方が良かった、と感じて評点をひとつ削らせていただいた。
「老子」は奥が深く幅も広いので、その読み方は、人様々になることが多い。この本も、新井満風老子の読み方を示してくれる。新井さんは、如何に生きるかを中心に読み取っている。私は、他にも、加島祥造さん、伊藤淳子さんなどの「老子」の読み方に接して、自分の読み方を鍛えさせてもらってきた。
書物は、多少なりともそんな読み方、つまり知識を得るよりも自分の知恵を鍛えるような読み方をするのが良いと思うのだが、とりわけ「老子」は、そんな読み方が相応しい。新井満風老子(の読み方)に、読者それぞれの老子理解をぶつけながら読んでみると、新井さんの上を行くことすらできるかも知れない。「老子」とこの「自由訳−老子」はそんな本だと思う。
所々に挿入された自由訳の一片を添えた美しい写真。環境映像を手がける新井さんだけに美しい。が、それ故にいかにも割り込んでいる感じで、読むリズムがしばしば削がれ、冒頭にグラビア風にまとめるなどの方が良かった、と感じて評点をひとつ削らせていただいた。
青春とは
私は、青春とはなにかの定義付けに興味はない。
しかし、新井満がyouthの意訳を平易な言葉で、原文の意味合いをほとんど変えずに膨らませているのには興味を覚えた。
私は以前行ったユースホステルの談話室に新井満訳の「青春とは」が
貼られているのを読んで感動した。
その場で手帳に書き留めて持ち歩いていたほどだ。
詩など、論理のかけらもないただの感傷をあおる文字の羅列と考えていた私ですら、
「青春とは」の詩には、一読しただけでは済まされない何かを感じた。
青春について深く考えてみたことのある人に本書の一読をお薦めしたい。
しかし、新井満がyouthの意訳を平易な言葉で、原文の意味合いをほとんど変えずに膨らませているのには興味を覚えた。
私は以前行ったユースホステルの談話室に新井満訳の「青春とは」が
貼られているのを読んで感動した。
その場で手帳に書き留めて持ち歩いていたほどだ。
詩など、論理のかけらもないただの感傷をあおる文字の羅列と考えていた私ですら、
「青春とは」の詩には、一読しただけでは済まされない何かを感じた。
青春について深く考えてみたことのある人に本書の一読をお薦めしたい。