一葉裏日誌 (小学館文庫)
情念と洞察力に縁取られた女性樋口一葉を裏がえしてヒョイと覗いた一品。
同時収録のうたまる・帯の男もいい味。
女性の美しさを描くことだけが上手い人はたくさんいるし、
醜さを覗くことだけが上手い人もたくさんいる。
でも上村一夫みたいに折って畳んで裏返し、
どこから見ても浮いたところが無いのに
湿気や匂いを失わない描き方の出来る人は数少ない。
やはり天才。
同時収録のうたまる・帯の男もいい味。
女性の美しさを描くことだけが上手い人はたくさんいるし、
醜さを覗くことだけが上手い人もたくさんいる。
でも上村一夫みたいに折って畳んで裏返し、
どこから見ても浮いたところが無いのに
湿気や匂いを失わない描き方の出来る人は数少ない。
やはり天才。
悪の華 (上村一夫ビブリオテーク)
わたしはこの作品が発表された1975年にまだこの世に生まれてきてはおりません。ですから、読んだのは今回が初めてです。
上村一夫氏の作品は好きで集めていましたので、「悪の華」という作品がとてつもなく猟奇的で、エロスとタナトス的テーマを得意とする氏の作品の中でも、極北に位置するようなダークサイドかつハードコア・エロティシズムな内容であることは、いろいろな評論本などで知っており、いつか読んでみたいと思っていました。 以前、けいせい出版というところから全3巻で出ていたようですが、プレミア価格で素人には手が出せない価格だったので、今回の復刊は嬉しいかぎりです(ビロード仕様の高級感のある装丁とデザインもGood!)。
さて内容は、主人公 黒髪流華道家元 花矢木蘭之助が自身の快楽のために数百人の女性を誘拐し、調教して殺害、そして女陰を切り取ってコレクションするという、もはや正気の沙汰ではない超極悪犯罪者なのですが、なぜか日本の法律では彼を裁くことは出来ない。なぜなら花矢木家は古来より毒草を栽培、伝授する一族として国家の影のフィクサーとして暗躍し、政財界を牛耳ってきたからなのです。蘭之助に調教され性奴隷となりながらも復讐を狙うヒロイン 小百合、彼女の婚約者で失踪した小百合を探すため花矢木家に潜入を成功するも蘭之助により女装趣味の同性愛者に調教されてしまう新聞記者の原、蘭之助に見捨てられ犬同然の扱いをされる正妻 茜、生花教室の先生とは表向きで若い女性を毒牙にかける醜女 菊野ら、強烈なキャラクターたちが織りなす狂乱の地獄絵図。
正直、内容は今日の倫理観からしたら、決して許される表現方法ではないかもしれません。読むのにもかなり体力がいります。具合が悪くなるか、精神的に追い詰められる可能性があります。ですが、上村一夫氏の流麗なタッチ、芸術的な構図、原作者 岡崎英生氏の官能ドラマとしての重厚なストーリーなど、このコンビだからこそ成された狂気と滅びの美学をギリギリのラインでバランスよく描いた究極のエロ劇画だといえます。もし他の劇画作家だったら、グロテスクなだけの嫌悪感しか残らない作品になっていたかもしれません。
やれクサイものにはフタ的な規制の多い時代だけど、この作品がこうして普通に入手できるのがフシギ...とにもかくにも復刻に感謝!
上村一夫氏の作品は好きで集めていましたので、「悪の華」という作品がとてつもなく猟奇的で、エロスとタナトス的テーマを得意とする氏の作品の中でも、極北に位置するようなダークサイドかつハードコア・エロティシズムな内容であることは、いろいろな評論本などで知っており、いつか読んでみたいと思っていました。 以前、けいせい出版というところから全3巻で出ていたようですが、プレミア価格で素人には手が出せない価格だったので、今回の復刊は嬉しいかぎりです(ビロード仕様の高級感のある装丁とデザインもGood!)。
さて内容は、主人公 黒髪流華道家元 花矢木蘭之助が自身の快楽のために数百人の女性を誘拐し、調教して殺害、そして女陰を切り取ってコレクションするという、もはや正気の沙汰ではない超極悪犯罪者なのですが、なぜか日本の法律では彼を裁くことは出来ない。なぜなら花矢木家は古来より毒草を栽培、伝授する一族として国家の影のフィクサーとして暗躍し、政財界を牛耳ってきたからなのです。蘭之助に調教され性奴隷となりながらも復讐を狙うヒロイン 小百合、彼女の婚約者で失踪した小百合を探すため花矢木家に潜入を成功するも蘭之助により女装趣味の同性愛者に調教されてしまう新聞記者の原、蘭之助に見捨てられ犬同然の扱いをされる正妻 茜、生花教室の先生とは表向きで若い女性を毒牙にかける醜女 菊野ら、強烈なキャラクターたちが織りなす狂乱の地獄絵図。
正直、内容は今日の倫理観からしたら、決して許される表現方法ではないかもしれません。読むのにもかなり体力がいります。具合が悪くなるか、精神的に追い詰められる可能性があります。ですが、上村一夫氏の流麗なタッチ、芸術的な構図、原作者 岡崎英生氏の官能ドラマとしての重厚なストーリーなど、このコンビだからこそ成された狂気と滅びの美学をギリギリのラインでバランスよく描いた究極のエロ劇画だといえます。もし他の劇画作家だったら、グロテスクなだけの嫌悪感しか残らない作品になっていたかもしれません。
やれクサイものにはフタ的な規制の多い時代だけど、この作品がこうして普通に入手できるのがフシギ...とにもかくにも復刻に感謝!