十二代目市川團十郎 (演劇界ムック)
故團十郎丈を偲ぶには最適の1冊といっていいと思います。
まずは、團十郎丈が勤め上げてこられた数々の舞台のカラー写真、モノクロ写真が豊富であること。歌舞伎十八番はもちろん、時代物から世話物、新歌舞伎や新作まで、さまざまな團十郎丈のお役を懐かさと共に追いかけられます。また、十一代目との親子一緒の写真をはじめ、海老蔵襲名、團十郎襲名など折々に撮られたスナップ、プライベートの貴重な写真なども溢れています。
さまざまな方の追悼文はもちろんですが、過去の「演劇界」に掲載されたインタビュー記事なども多く載せられていて、読み応えもあります。特に興味深かったのは、昭和52年に行われた團十郎(当時十代目海老蔵)と当代菊五郎と初代辰之助の3人による座談会、そして菊五郎や藤十郎との対談です。そしてどの記事でも、歌舞伎や役の話になると熱を帯びたように語り出す團十郎丈の言葉から、市川宗家を背負っているのだという念持が伝わって来ます。不器用な役者と言われ続けながら、そのことをぐっと腹の奥にしまい込み、最後まで真摯に歌舞伎と向かい合ってきた團十郎丈の、人間的な大きさと心の温かさを、本書で改めて噛み締めることができます。
まずは、團十郎丈が勤め上げてこられた数々の舞台のカラー写真、モノクロ写真が豊富であること。歌舞伎十八番はもちろん、時代物から世話物、新歌舞伎や新作まで、さまざまな團十郎丈のお役を懐かさと共に追いかけられます。また、十一代目との親子一緒の写真をはじめ、海老蔵襲名、團十郎襲名など折々に撮られたスナップ、プライベートの貴重な写真なども溢れています。
さまざまな方の追悼文はもちろんですが、過去の「演劇界」に掲載されたインタビュー記事なども多く載せられていて、読み応えもあります。特に興味深かったのは、昭和52年に行われた團十郎(当時十代目海老蔵)と当代菊五郎と初代辰之助の3人による座談会、そして菊五郎や藤十郎との対談です。そしてどの記事でも、歌舞伎や役の話になると熱を帯びたように語り出す團十郎丈の言葉から、市川宗家を背負っているのだという念持が伝わって来ます。不器用な役者と言われ続けながら、そのことをぐっと腹の奥にしまい込み、最後まで真摯に歌舞伎と向かい合ってきた團十郎丈の、人間的な大きさと心の温かさを、本書で改めて噛み締めることができます。
團十郎復活
息子の襲名披露公演の只中に白血病を告げられる。
そこからの生還の記録だが、単なる闘病記ではない。
治療と並行して、歌舞伎役者としての活動もしなければならず
その記録でもある。
芸能人の本というと、ゴーストライターが書くものが多いが
これは、多分、当人が本当に書いているのではないか。
自虐的な記述がけっこうあり、
こういうのは当人でないと書けないように思う。
白血病は、有名な病気だが、身近ではない。
だから、実際にどんな病状で、どんな治療法があるのかは
まったく知らなかったが、患者の視線で、実に分かりやすく書かれている。
もっとも、いったい、こうした治療にいくらかかったのかは書かれていないので
はたして一般庶民が、こんな治療を受けられるのかどうかは、よく分からない。
歌舞伎役者の日常の記録としての部分も
実に面白い。
海老蔵との父子関係も、その距離のとりかたに
互いに戸惑っている様子が窺える。
そこからの生還の記録だが、単なる闘病記ではない。
治療と並行して、歌舞伎役者としての活動もしなければならず
その記録でもある。
芸能人の本というと、ゴーストライターが書くものが多いが
これは、多分、当人が本当に書いているのではないか。
自虐的な記述がけっこうあり、
こういうのは当人でないと書けないように思う。
白血病は、有名な病気だが、身近ではない。
だから、実際にどんな病状で、どんな治療法があるのかは
まったく知らなかったが、患者の視線で、実に分かりやすく書かれている。
もっとも、いったい、こうした治療にいくらかかったのかは書かれていないので
はたして一般庶民が、こんな治療を受けられるのかどうかは、よく分からない。
歌舞伎役者の日常の記録としての部分も
実に面白い。
海老蔵との父子関係も、その距離のとりかたに
互いに戸惑っている様子が窺える。