コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ(48年録音/Pacific 78rpm)/ファリャ:スペイン民謡組曲(Pacific 78rpm)/コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ(50年録音/Period)
Starkerによる伝説的な1950年Periodに録音したKodaly無伴奏チェロソナタに、48年の初録音とファリャの録音をカップリングしたもの。録音については、バルトークの遺児ペーター・バルトークによる1950年盤はもともと名録音として知られている。モノラルであったりテープヒスがやや耳につく以外は、録音じたいはむしろ優秀と言えるものであり、同じく名録音として知られる菅野沖彦氏による1970年盤にそれほど劣るものではない。1948年盤はSPからの復刻であっても、原盤の状態は良好であるようで、もともとノイズカットによる影響を受けにくい音程の楽器だということもあって、聴きやすい。
演奏だが、各種あるStarkerの録音の中でも、世評どおりこの1950年Period盤を第一にするものである。筆者が思うに、この曲で重要なのは最終楽章であり、例えばバッハの無伴奏チェロソナタや、バルトークのピアノ協奏曲最終楽章(特に第二番)のように、「舞曲」として弾くことが肝なのだ。カザルスやアバド/ポリーニの演奏が失敗し、ビルスマやアンダ/フリッチャイの演奏が成功しているのと同じ理由で、本曲に関しても舞曲としての性格描写に失敗したヨー・ヨー・マは退屈な演奏であり、それに成功したシュタルケルが名演と言われているのである。テンポ、というより、リズムの表現に失敗した演奏は聴くに耐えない。古来から音楽は舞踏と強く結びついており、東欧やアラブの民俗音楽に取材したコダーイやバルトークの音楽では特にそれが重要なのだ。舞曲としての性格を留めているバッハの無伴奏のように。
演奏だが、各種あるStarkerの録音の中でも、世評どおりこの1950年Period盤を第一にするものである。筆者が思うに、この曲で重要なのは最終楽章であり、例えばバッハの無伴奏チェロソナタや、バルトークのピアノ協奏曲最終楽章(特に第二番)のように、「舞曲」として弾くことが肝なのだ。カザルスやアバド/ポリーニの演奏が失敗し、ビルスマやアンダ/フリッチャイの演奏が成功しているのと同じ理由で、本曲に関しても舞曲としての性格描写に失敗したヨー・ヨー・マは退屈な演奏であり、それに成功したシュタルケルが名演と言われているのである。テンポ、というより、リズムの表現に失敗した演奏は聴くに耐えない。古来から音楽は舞踏と強く結びついており、東欧やアラブの民俗音楽に取材したコダーイやバルトークの音楽では特にそれが重要なのだ。舞曲としての性格を留めているバッハの無伴奏のように。
紅葉~autumn with your favorite music~V-music~ [Blu-ray]
「紅葉〜autumn with your favorite music〜 (DVD版)」のブルーレイ化作品です。V-Musicシリーズの他の作品と同様、主役である音楽に既存の素材を組み合わせたものなので、映像作品としては凡庸といえば凡庸です。これも同シリーズのほかの作品でもそうですが、ハイビジョンを謳っているわりには、そうとは思えない (またはカメラマンが下手) ような粗い画像も混じっていますし。より高画質で、よりコンセプトのはっきりとしたものを期待するのなら「夜もみじ 」を選ばれたほうがよいでしょう。
内容は、NHKで深夜に流しっぱなしになっている、ナレーションなしの音楽付き映像番組や、ニュースの合間に挿入されている季節の話題をつなぎ合わせたもの、を想像していただければ、おおむね正しいと思います。
「2. 箱根 (仙石原)」や「5. 愛媛...」の一部、「6. 北海道...」の一部、「7. 京都...」、「8. 青森 (奥入瀬)」の一部は雄大、壮観なカットが多いですし、BGVとして普通に楽しめると思いますよ。パッケージや紹介内容がこんなに持ち上げなければ、もっとよい評価をもらえると思うのですが。ただ、スワンボートとか観光船とかを入れてしまうあたりが、やっぱり「わかってないなあ」ともどかしく思うところです。
内容は、NHKで深夜に流しっぱなしになっている、ナレーションなしの音楽付き映像番組や、ニュースの合間に挿入されている季節の話題をつなぎ合わせたもの、を想像していただければ、おおむね正しいと思います。
「2. 箱根 (仙石原)」や「5. 愛媛...」の一部、「6. 北海道...」の一部、「7. 京都...」、「8. 青森 (奥入瀬)」の一部は雄大、壮観なカットが多いですし、BGVとして普通に楽しめると思いますよ。パッケージや紹介内容がこんなに持ち上げなければ、もっとよい評価をもらえると思うのですが。ただ、スワンボートとか観光船とかを入れてしまうあたりが、やっぱり「わかってないなあ」ともどかしく思うところです。
ヤーノシュ・シュタルケル自伝
私は自伝が好きで、たくさん読んでいるが、中でもこれはユーモアのセンスに秀でていてお気に入りの一冊。まずはじめの章が、著者の胃袋によって語られ、最後の章は23世紀ごろというSFもどきの締めくくり。
その間にあるのは、著者と彼が時を共にした友人や楽器の物語である。それを一貫しているのは、音楽に対する愛と情熱。著者は自分と適度な距離を保つことに成功している。
本の中で、著者はディレッタンティズムを技芸のみに秀で、一貫した考え方がないとして批判しているが、この書をもってして、著者はまさにディレッタントならぬプロフェッショナルであることを証左していると思った。
私も前のレビュー者同様、著者の壮健を心から祈りたい。
その間にあるのは、著者と彼が時を共にした友人や楽器の物語である。それを一貫しているのは、音楽に対する愛と情熱。著者は自分と適度な距離を保つことに成功している。
本の中で、著者はディレッタンティズムを技芸のみに秀で、一貫した考え方がないとして批判しているが、この書をもってして、著者はまさにディレッタントならぬプロフェッショナルであることを証左していると思った。
私も前のレビュー者同様、著者の壮健を心から祈りたい。
バッハ:無伴奏チェロ組曲(全6曲)他
他のチェリストと比べると、この方の演奏には男気、骨太、職人気質といったキーワードの似合う力強さがあります。しかし決して粗野ではありません。チェロの楽しみの一つに、中低音で発せられるゴリゴリとした倍音の味わいがありますが、その粒がきちんと整っていてとても心地よいのです。この点については彼自身の後の演奏より40代で録音したこちらの方がベターです。そういうわけで演奏に関しては文句なく星5つ。私の中では1押しの無伴奏チェロです。
余談ながら、手元に全く同じ演奏でかつてフィリップスから紙ジャケで出ていた頃のものがあるのですが、聞き比べると心なしか艶や中音域の膨らみ感はそちらの方が良さげに聞こえます。もし今後何らかのリマスター等する機械がありましたら、音質を近づけて頂けますと幸いです。(というのは紙ジャケ版は1〜3番までしか持っていないので…)
それからこのCDを買う方にはバッハの「無伴奏」チェロを聞きたいから、という人も多いと思います。つまり、余分な音を聞かずにチェロ1台がひたすら轟々言うのだけを楽しみたいという部分もあるわけです。その一人としては、追加のおまけで雰囲気を崩してしまうよりも、6番のGigueできちんと終えて、しばらくは手放しで余韻が楽しめるようにしてほしいと思います。
余談ながら、手元に全く同じ演奏でかつてフィリップスから紙ジャケで出ていた頃のものがあるのですが、聞き比べると心なしか艶や中音域の膨らみ感はそちらの方が良さげに聞こえます。もし今後何らかのリマスター等する機械がありましたら、音質を近づけて頂けますと幸いです。(というのは紙ジャケ版は1〜3番までしか持っていないので…)
それからこのCDを買う方にはバッハの「無伴奏」チェロを聞きたいから、という人も多いと思います。つまり、余分な音を聞かずにチェロ1台がひたすら轟々言うのだけを楽しみたいという部分もあるわけです。その一人としては、追加のおまけで雰囲気を崩してしまうよりも、6番のGigueできちんと終えて、しばらくは手放しで余韻が楽しめるようにしてほしいと思います。