日本では数少ないヴィオラの若手ノンジャンルプレイヤー。数多くの有名プレイヤーとの共演の実績もあり、活躍する分野はクラシックからJazzまで多岐にわたります。
ビオラという楽器、聴く側にとってはヴァイオリンが少し大きくなった程度で大して変わらない楽器なんじゃないか、と思うかもしれません。
ただし、弦の音域が異なるせいか、自分の音楽に弦のメロディーを演奏するサウンドが欲しい、だけどヴァイオリンだと目立ちすぎる、という人にとってビオラの出す音域は丁度よい具合にあるようで、、様々なジャンルの音楽に
チェロとともに活躍の場を広げてきています。
そんな彼女のCDがあるというので入手してみました。その音色は一度聴いたら虜になる人が多いようで、ライブでは熱心なファンの方が全国から駆けつけてくるようです。
作品は黙って弾けば奥深いメロディを生み出す気鋭のピアニスト、伊藤志宏とのDuo。
クラシックでもなくポピュラーでもなく。独特の世界観が広がっていました。
「霜月」「春雷」は聴いていると少なからずピアノが目立ち過ぎではないかという感もありますが、自分が主役であっても人が書いた曲で本人が演奏する場合はおそらくそのプレイヤーをより引き立たせているように演奏しているのではないかという気がします。
確かに他のプレイヤーとの演奏を聴いていると「凄いな」って思う部分ではあり、改めて才能の高さを感じました。
そして即興演奏のテクニックが評判だそうですが、そのセンスの良さは収録曲のオリジナル「My Funky Valentine」にストレートに現れています。
ポピュラーであってもJazzであっても影ながら主役を支えるアンダースタディな存在であることが多いのですが、彼女のしっかりとしたサウンドは
タイトル曲でもある「Viola」を聴けばはっきりとするのではないでしょうか。さして前に前に出て行こうとはせず、でも存在ははっきりと。
隠れがちなヴィオラを主役の座へ押し上げようとまっしぐらに突き進む、そんな意気の感じられる作品です。