反物質-消えた反世界は今どこに?
反物質による反世界とは何か、科学的裏付けによる推理、解明を期待したが、内容は一貫して過去の反物質に関する物理学事績の足どりの解説に終始しており、表題とはかけ離れている。
反物質
進さんの音は力強くて温かくてゆるぎがない。
タイトル曲の「反物質」はすごいです。
「camera」「cloudy sky」「僕のハピネス」も大好き。
進さんのギターの音が私のお薬なのです。
やさしさがあふれるアルバムです。
タイトル曲の「反物質」はすごいです。
「camera」「cloudy sky」「僕のハピネス」も大好き。
進さんのギターの音が私のお薬なのです。
やさしさがあふれるアルバムです。
反物質―消えた反世界はいまどこに?究極の鏡の謎にせまる
旧ソ連のサハロフは、CP対称性という対称性がわずかに破れることで物質が反物質よりわずかに多く作られる可能性があることを考えた。この発想は一見もっともらしくみえてしまうので、現在、対消滅で物質世界のみが残ったと考え、つまり反宇宙は存在しないとする考えが一般的なようだ。しかし、佐藤勝彦らのインフレーション理論を応用すると物質世界と反物質世界は消滅を避けて、巨大なスケールでは、はるかかなた数多くの物質世界と反物質世界が共存しながら広がっているとわかる。
この本でも、サハロフ流の考えはアイデアとしては一見素晴らしく見えるが、それは単なる、一見尤(もっと)もらしく見えてしまう仮説にすぎなく注意する必要があると教えて頂けます。
・CPの破れが反対なら、反物質が多く作られるはずで、CP対称性が破れるなら、平等に同じ確率で破れるべきであろう。
・今日のガンマ線背景輻射は、かつて宇宙で大規模に起こったと考えれる物質-反物質対消滅過程の痕跡を示してはいない。1991年スペースシャトル・アトランティスのGRO(ガンマ線観測機)はその非常に見晴らしの効く場所からバーストを捕らえ、またこの背後にかすかではあるが一様なガンマ線背景輻射が存在していることを明らかにした。バーストはそのかすかな背景輻射よりも興味深いものであったが、物理学者たちは、この背景輻射が、原初の物質-反物質反応で発生したと考えられているものよりも弱いということを見て取った。もしかしたら、物質領域と反物質領域は、決してお互いに接触したことはなかったのではないだろうか?ビッグバンにおいて両者が形成され、爆発の力によってただちに引き離された物質と反物質は、各々まったく別個の道を歩んだのではないか。互いに引き離された物質領域と反物質領域は宇宙の中で、計り知れないほどの拡がりをもった真空によって隔たれているのではないか。
この本でも、サハロフ流の考えはアイデアとしては一見素晴らしく見えるが、それは単なる、一見尤(もっと)もらしく見えてしまう仮説にすぎなく注意する必要があると教えて頂けます。
・CPの破れが反対なら、反物質が多く作られるはずで、CP対称性が破れるなら、平等に同じ確率で破れるべきであろう。
・今日のガンマ線背景輻射は、かつて宇宙で大規模に起こったと考えれる物質-反物質対消滅過程の痕跡を示してはいない。1991年スペースシャトル・アトランティスのGRO(ガンマ線観測機)はその非常に見晴らしの効く場所からバーストを捕らえ、またこの背後にかすかではあるが一様なガンマ線背景輻射が存在していることを明らかにした。バーストはそのかすかな背景輻射よりも興味深いものであったが、物理学者たちは、この背景輻射が、原初の物質-反物質反応で発生したと考えられているものよりも弱いということを見て取った。もしかしたら、物質領域と反物質領域は、決してお互いに接触したことはなかったのではないだろうか?ビッグバンにおいて両者が形成され、爆発の力によってただちに引き離された物質と反物質は、各々まったく別個の道を歩んだのではないか。互いに引き離された物質領域と反物質領域は宇宙の中で、計り知れないほどの拡がりをもった真空によって隔たれているのではないか。
消えた反物質―素粒子物理が解く宇宙進化の謎 (ブルーバックス)
K中間子の奇妙な振る舞いから発見されたCP対称性の破れが、どう発展して「クォークの世代」に行き着くのかを知りたかったのですが、どうしてもこれまで読んできた「数式のない書籍」ではわかった気になれませんでした。
仕方なく専門書を見てみると、ディラック方程式やラグランジアン密度など、高度に専門的な内容を理解しなければなりません。啓蒙書と専門書のギャップが大きすぎるのです。さすがに専門家になるつもりはないので、いろいろな本を探しているうちにたどり着いたのがこの本でした。
この本には適度に数式が使われており、それが理解を助けます。最も核となる第4章を何度か読み返し、ほかの文献と見比べているうちに、全体像がわかりました。寡聞にして、この本以上に「CP対称性の破れ」をわかりやすく説明した本を知りません。(もう少しラグランジアン密度についての言及があれば、複素行列がどのようにCP対称性と関係するかがわかるのに、と残念に思います)
ほかの人のレビューを見ると、かなり難しいという評価で、ちょっと意外でした。おそらく新書サイズには珍しく、数式が出てくるからだと思います。確かに、複素数や行列を理解できないと、第4章で挫折するかもしれません。
しかし、「CP対称性の破れ」は純粋に数学的な特徴による現象なので、数式を一切使わずに理解することは、おそらく不可能です。とはいえ要求されるのは、「高校生レベルの代数」ですので、怖気づくほどではありません。高校数学が身についていない人は、「CP対称性の破れ」の雰囲気しか理解できないでしょう。
逆に言えば、この程度の数学的知識でも、曲がりなりにも理解できる方が驚きです。そのため、「高校数学がわかれば誰にでも発見のチャンスがあったのかな?」と思ったのですが、素粒子の高度な知識も必要で、単純ではありませんでした。誰よりも早くこの性質に気づいたことは、やはりノーベル賞に値すると感銘を受けました。
仕方なく専門書を見てみると、ディラック方程式やラグランジアン密度など、高度に専門的な内容を理解しなければなりません。啓蒙書と専門書のギャップが大きすぎるのです。さすがに専門家になるつもりはないので、いろいろな本を探しているうちにたどり着いたのがこの本でした。
この本には適度に数式が使われており、それが理解を助けます。最も核となる第4章を何度か読み返し、ほかの文献と見比べているうちに、全体像がわかりました。寡聞にして、この本以上に「CP対称性の破れ」をわかりやすく説明した本を知りません。(もう少しラグランジアン密度についての言及があれば、複素行列がどのようにCP対称性と関係するかがわかるのに、と残念に思います)
ほかの人のレビューを見ると、かなり難しいという評価で、ちょっと意外でした。おそらく新書サイズには珍しく、数式が出てくるからだと思います。確かに、複素数や行列を理解できないと、第4章で挫折するかもしれません。
しかし、「CP対称性の破れ」は純粋に数学的な特徴による現象なので、数式を一切使わずに理解することは、おそらく不可能です。とはいえ要求されるのは、「高校生レベルの代数」ですので、怖気づくほどではありません。高校数学が身についていない人は、「CP対称性の破れ」の雰囲気しか理解できないでしょう。
逆に言えば、この程度の数学的知識でも、曲がりなりにも理解できる方が驚きです。そのため、「高校数学がわかれば誰にでも発見のチャンスがあったのかな?」と思ったのですが、素粒子の高度な知識も必要で、単純ではありませんでした。誰よりも早くこの性質に気づいたことは、やはりノーベル賞に値すると感銘を受けました。