１９７０年代に大島弓子作品に遭遇したのは、幸せだったとしか言いようがない。
彼女の作品は、世界の箍を、ふっと緩め、ため息より少し大きめの息をつかせてくれる。
だから、作品を語ることは、いつのまにか自分を語ることになってしまう。
たぶん、誰もがそうで、一人一人の中には、それぞれにとっての大島弓子がいるのだろう。
だから、大島弓子を論じるのは難しい。

でも、いいや。
作品を読み返すのは何度でも、幸せな時間なのだから。

本編の内容について：主人公が武道系の部活に入っていることが、いい物語のアクセントになっています。吹石一恵さんの演技は健康的な高校生らしさを表現していて非常に好感が持てます。というより、その魅力に一気にファンになってしまいました。　
また、主人公の恋の相手役を演じた沢木さんの演技は、なれなれしすぎず、べたべたしない親しさという難しい役柄をとてもうまく演じきっていました。
メイキング映像について：BGMにピアノ演奏が流れています。これも本編との一体感があっていいのですが、もうすこし役者さんのインタビューや制作現場の生の音をそのまま拾ってほしかったです。
全体を通しての感想：とにかく吹石さんのファンなら必見です。喜怒哀楽すべての表情が登場してきます。そしてすべてが、誰の思い出にも残っているような、懐かしい、切ない郷愁をさそいます。