漫画の形で動物の生態を紹介し、作者の意見を述べるといった一風変わった作品。
作者の岡崎さんはSF作家と聞きますが、なるほど各テーマの着眼点は実にSF作家らしい!
動物研究者とはまた異なる視点からのものの見方が大変面白いです。
しかし、そこはやっぱり動物の専門家ではないので誤った記述や眉唾な内容もあります。
アリマキの話やヒキガエルの話のように各話の末尾についている池田教授の解説で訂正されていれば良いのですが、そうでない内容もあります。(正直個人的には池田教授のお話も信用してよいのかと思うのですが)
例えば作者は「トラの模様はカモフラージュと言われてるけど目立つ」といった形でカモフラージュ説を否定しています。
(※これに関しては作者の岡崎さんもあくまで個人的な意見と書かれています)
しかし、実際あの模様は非常に優れたカモフラージュであり、それが見て取れる動画や写真は沢山あります。
私も多摩動物公園でアムールトラが茂みに入った後しばらく観察していたのですが、後から来た人はトラの姿を見つけられずに「いないねー」と言って通り過ぎようとしているのを何度か見かけました。
(声をかけて場所を教えてあげましたが)
ですから、この本は「動物に関する知識本」ではなく「動物に対するあるSF作家の見方」ということを理解して読むべきだと思います。
その点を踏まえて読めば問題はなく、非常に興味深い漫画です。
視点を変えた斬新な動物の生態の捉え方は面白く、評価5に値するのですが、情報の誤りがある可能性が高いという点で-1, ということで評価4とさせていただきます。
専門書だったら-1どころじゃないですが、漫画なのでエンターテインメント性重視かなぁと。
続編楽しみにしてます。