確かに「これだけやれば声が良くなる」というポイントを６つか７つに厳選し，生徒（読み手）が余計な事をしないで効率よく発声法を習得できるようにまとめた，という点で価値はあると思います。

ただ，本当に一日で習得できるかというと，独習ではまず無理でしょう。
まず最初の，丹田で立つための「水ジャージャー」ですが，何度か練習しましたが私にはどうもうまくイメージできませんでした。仕方がないのでこれは飛ばして次の「丹田呼吸法」に進みました。これは割とやりやすいです。しかし，これも一息４０秒もかけて深い呼吸が出来るかというともちろん出来ません。途中でハアハアしてしまいます。まあ，こちらは毎日練習する事にしています。

息を吸って吐くための「びっくりスローモーション」や腹式呼吸の「おなかポコッ」も一応できますが，本当にこれで良いのか，なかなか自信が持てません。本とCDだけなのでフィードバックを掛けられないという問題はありますが，そうでなくてもこの部分はちょっと説明が悪いと思います。例えば「びっくりスローモーション」と「おなかポコッ」のコンビネーションがCDレッスンにありますが，これは何をやったらいいのか，もう一つはっきりしません。独習者の事を考えて，もう少し説明を補って欲しいと思います。

これらのことをリアルなトレーニングでは一日に押し込むのかも知れませんが，本とCDでの独習ではかなり試行錯誤が入るのでとても一日では無理です。私の場合Re-birthの歌をCDの指示通りに歌うところまで，延べ十日くらいかかりました。
成果は…もしかすると少々声の響きが良くなったかも知れません。1,600円でこの成果ならば満足すべきでしょう。

　深海に眠る古代遺跡をめぐる争いを描くSFの２巻。遺跡の端末である「人工妖精」と融合して
しまったヒロインのかがり、その彼女を狙って襲い来る勢力に対抗するべく、自らも特殊スーツ
「武殻」を装着する主人公の真都（マコト）。日滝との共闘で辛くも敵を退けたが、今の真都の
身体能力で武殻を使うのは限度がある。一方、かがりを人工妖精と切り離すには海底遺跡に
行くしかない。だがその遺跡は現在スリープ状態であり、起動させるための「鍵」を探す必要が
ある。今も何人か生き残っている、海底に遺跡を沈めた古代王国の末裔。それを訪ねる日滝
たちだったが敵がだまって見ているはずはなく……。
　登場する新たな武殻、新たな敵、そして少しずつ見えてくる古代遺跡の輪郭。また敵の方も
一枚岩ではなく、その辺の人間ドラマも見所。結構面白くなってきましたが、どうもしっくりこない
のが主人公の存在意義。かがりの方は危ないから真都をこの件から外そうとする（かがりと
違って直接の関わりがない、腕っ節弱い、敵は殺人も辞さない連中ということを考えれば極めて
妥当な判断と思われます）のに、日滝をはじめ周囲は無責任にも「かがりに惚れてるから」という
理由で真都を随行させるという。真都もかがりのために身体を鍛え始めたりはしますが現状は
あまり役にたっておらず。
　主人公サイドを引っ張っているのは日滝なので真都いらないじゃんと思っていたら、この巻の
最後の急展開。やっぱりこうなるのか…。次がどうなるのか楽しみではありますが、ちょっと無理
も感じます。何あの王族武殻のトンデモ武装。

　第２ヒロインのうらなの活躍をお見逃しなく、などと書いてありますが彼女は情報係で今回は
あまり動きません。前回目の前で祖父を殺害されたのにお元気なようで。
そのかわり（？）古代人の末裔である第３ヒロインが登場。しかしこれが悲劇の始まりに……？

老舗旅館の長男と祖母、同級生の少女の３人の物語。
祖母と少女が抱えている秘密。
それを長男はどのように受け入れていくのか。
この読んでいてノスタルジーを感じさせる文章と表現。
道尾さんらしい作品だなと思いました。
結末は予想していたものとは違いましたが、
こういう結末なら逆に良かったです。