中島らも烈伝
中島らもさんが亡くなってもうすぐ10年が経とうとしている。
仕事の合間にぼーっとしている時に、らもさんの書いた文章や、出演していたテレビやラジオの番組のことをふと思い出す時がある。その夜にらもさんの本を続けて読んで、最後にたどり着くのがこの本だ。らもさんのエッセイや対談、インタビューにたびたび登場するフランス文学者、ブルースピアニスト、エス・・・その人鈴木創士氏がこの本の著者である。
決して分厚い本ではないし、文章も飛躍が多く、読みやすいとは言えないと思うが、個人的には「そうだったのか」と腑に落ちることが多く、親友の事を語りつつ一つの時代を語っているような宝石のような一冊である。
名詞を羅列する書き方は、らもさんの「バンド・オブ・ザ・ナイト」に出てくる手法で、個人的には「わかる!」と思うのだが、慣れない人にはわかりにくいと思う。登場する人物とその行動のユニークさ、そしてそれとつき合い、見つめ続けたらもさんのまなざしの優しさ。これらのエピソードをもっと脚色し読みやすい長編小説にすれば、もっとこの本は売れたかも知れない。しかし著者はあえてそうしなかった。それは正しかったと思う。親友にできる限り誠実であろうとした簡潔な文体はすばらしい。
これからも何度も読み返すことになると思う。こんな素敵な一冊を書いてくれた著者に心から感謝したい。
仕事の合間にぼーっとしている時に、らもさんの書いた文章や、出演していたテレビやラジオの番組のことをふと思い出す時がある。その夜にらもさんの本を続けて読んで、最後にたどり着くのがこの本だ。らもさんのエッセイや対談、インタビューにたびたび登場するフランス文学者、ブルースピアニスト、エス・・・その人鈴木創士氏がこの本の著者である。
決して分厚い本ではないし、文章も飛躍が多く、読みやすいとは言えないと思うが、個人的には「そうだったのか」と腑に落ちることが多く、親友の事を語りつつ一つの時代を語っているような宝石のような一冊である。
名詞を羅列する書き方は、らもさんの「バンド・オブ・ザ・ナイト」に出てくる手法で、個人的には「わかる!」と思うのだが、慣れない人にはわかりにくいと思う。登場する人物とその行動のユニークさ、そしてそれとつき合い、見つめ続けたらもさんのまなざしの優しさ。これらのエピソードをもっと脚色し読みやすい長編小説にすれば、もっとこの本は売れたかも知れない。しかし著者はあえてそうしなかった。それは正しかったと思う。親友にできる限り誠実であろうとした簡潔な文体はすばらしい。
これからも何度も読み返すことになると思う。こんな素敵な一冊を書いてくれた著者に心から感謝したい。