松岡國男妖怪退治 (4) 黒鷺死体宅配便スピンオフ (カドカワコミックス・エース)
前巻もそうだけど、やいちのセリフや出番が少ないのが残念です;
だんだんわかった
仲井戸麗市、チャボはとても不思議な人だ。
そもそも彼が在籍していたRCって、確かに有名で日本のロック・
バンドとしてはそこそこ売れたけれど、サザンやユーミンみたい
なメガヒットを飛ばしていたわけじゃない。ソロになった清志郎
も何かと話題にはなるけれど、ヒット・チャートの上位には決し
て登場しない。
そのRCのギタリストだったチャボ。言ってみればナンバー2の位
置にいた人だ。でもRCの活動が停止した後も、コンスタントにC
Dを出し、麗蘭の活動もこなし、こうして本も出している。そして
その都度、好意的な賛辞が寄せられる。さらに処女作であるこの本
の後にも何冊かの著作を上梓している。あえて誰も言わないが不思
議な現象だと思う。
で、この本を手に取る。確かに読ませる。決して押しつけがましく
ならない独特の熱さがある。この人の内向性が上手い具合に作用し
ているのだろう。読んでいるだけで、この人と何かを共有している
気にさせられる。ある意味人徳の表れかもしれない。文章から覗く
不器用さが何とも微笑ましい。この人とブルースかなんか聞きなが
らビールでも飲んだらさぞかし楽しいだろうなと思わせる。
この誰にも真似できない佇まい、これが彼を彼たらしめ、彼の本を
出したいと思う人が出てくる最大の要因だろう。こういうあり方は
少しエリック・クラプトンのそれを思わせるような気がするのだが、
どうか?
古井戸、RC、麗蘭、おおくぼさん(自分の奥さんを旧姓でしかも
「さん」づけで呼ぶセンスは僕はとても好きだ)について語る、そ
の飾り気の無い言葉は独特の心地よさがある。昔のロックをバック
に酒を飲みながら読むと結構はまります。
ロックの感受性―ビートルズ、ブルース、そして今 (平凡社新書)
チャボは今も昔も変わらない、変わりようのないギター少年だ。
少しぶっきらぼうだった過去に比べ、やや外向きに自己を表現することが上手くなったが、やっぱり本当の姿はひたすらギター少年だ。
そんな事が良く分かる内容で、生まれてから今日までの曲がりくねった道を、チャボらしく淡々と語っている。
「これを読まずしてチャボを知っていると言うな」と言えるほどの出来で、オールドファンは勿論、最近ファンになった人にも楽しめる絶対の一冊だ。