戦争と人間 第二部 愛と悲しみの山河 [DVD]
第一部に続いて第二部も一気に見せてくれます。伍代俊介と標耕平が成長してきたので,前作でのロマンスに彼らの分も加えられメロドラマ色が強くなっています。さらにサスペンス絡みの場面もあり,興味深く見ることができます。いくつか気になる点を書くと,まず,第一部の終わりで高橋英樹の前で爆弾が破裂し彼の姿が見えなくなった(これは第二部のオープニングでも出る)ので,どうなったのかと思っていたら,怪我もなく変わらぬ様子で登場した点。これでは,前見た映像(演出)は何だったのかと思ってしまいます。意味がないですね。それと佐久間良子の演技(台詞)が,ある場面では過剰気味に見えました。女性(人妻)の心の揺れを表現するためなのか分かりませんが,思わず笑ってしまいました。あえて,そういう演技(台詞回し)をさせたのかもしれませんね。こういう気になる点も,自分には楽しみの一つとなっています。第三部へはどうつながり,どう完結するのか興味が尽きませんでしたが,第三部は第一・二部とは別物のようになっていました。三部作全てをご覧になった方には分かると思います。
人間の條件〈上〉 (岩波現代文庫)
非常に大きなテーマを投げかけている本です。上中下の3巻構成でそのボリュームも可なりありますが、一気に読み終えてしまうほど読み入ってしまいます。読みながら、そして読み終えてからも「人間」とは一体何なのかということについて考えさせられました。人間らしく生きるとは一体どういう生き方なのか?人間と動物との違いは?正直に生きることは無意味なことなのか?等々幾つもの謎かけを与えられます。あと、本書を読んで私の中で大きく変わったことは「中国人の反日感情」の考え方です。最近の中国の反日行動等に政治的プロパガンダを感じていましたが、日本陸軍が中国大陸で行った侵略戦争の一部が本書には克明に記されています。我々が日中戦争のことを「過去のこと」と一言では片付けられない何かを見せられた思いがします。戦争がいかに人間を醜い動物に変えていくかが痛いほどわかりました。ぜひ、戦争を知らない我々の世代に本書を読んでもらいたい。そしてその中で人間らしく生きるという意味を考えてもらいたいと感じました。
人間の條件 第5部 死の脱出 [DVD]
第二次大戦末期の独ソ戦争や対日戦争におけるソ連赤軍の異常さがよく描かれている。
虐殺と強姦を繰り返しながら移動する彼らのクズさを
『何百万人のうちのほんの数人おかしくてもそういうことになる』という優しい台詞を吐いているが、ベルリンまで侵攻する過程で190万人を強姦したという調査結果が出ているのでほんの数人というレベルの話では無い。満州から朝鮮半島へ侵攻していく過程でもそうだ。
『かれらは日本ともアメリカ軍とも違う』という台詞で表現するのが精一杯だったのか。
そして、そんな卑劣な行いをするのは日本人も同じだった、というところを描いているのがこの映画のフェアで観るのがキツイところでもあるし、一番のテーマ。
虐殺と強姦を繰り返しながら移動する彼らのクズさを
『何百万人のうちのほんの数人おかしくてもそういうことになる』という優しい台詞を吐いているが、ベルリンまで侵攻する過程で190万人を強姦したという調査結果が出ているのでほんの数人というレベルの話では無い。満州から朝鮮半島へ侵攻していく過程でもそうだ。
『かれらは日本ともアメリカ軍とも違う』という台詞で表現するのが精一杯だったのか。
そして、そんな卑劣な行いをするのは日本人も同じだった、というところを描いているのがこの映画のフェアで観るのがキツイところでもあるし、一番のテーマ。
人間の條件 DVD-BOX
五味川純平の『人間の条件』は、植民地の構造や(ありきたりの表現だが)軍隊の不条理、ラーゲリといったものを活写した、そして全篇を貫くメロドラマ的要素として梶と美千子の純愛が描かれた、まさに巻措く能わずという作品だった。映画化作品でそのイメージが損なわれるのが嫌だったのでこれまで観てこなかったが、今回初めて3部を通して観て圧倒された。美千子との生活のために「魂を売った」梶が、満州で人間らしく振る舞おうとすること自体に潜む矛盾。それを、まだ若かった仲代達矢が、後年の目ばかり剥く硬質な演技とは違って説得力を持って演じている。しかし脇役陣をみても、ロケシーンを観ても、これだけの長尺物でしかも質の高い映画を三年がかりで作っていたとは......日本映画が力を持っていた時代だったのだなあと熟々思わされた。もっと早く観るべきだったと後悔している。