尾瀬と鬼怒沼 (平凡社ライブラリー)
70年の時を超え再販され、感慨もひとしおです。 本書を片手に現地に佇めば、植生と風景の70年の変貌が実感となって我が身に迫ります。理学的価値は勿論のこと、文学的にも価値ある一冊です。 多くの方が本書を読んで、自然と人との良き関係に想いを馳せてくださるなら、それこそが日光に永眠される著者の本懐ではないでしょうか。
怒りの葡萄 [DVD]
不作、不況の情勢の中で新天地カリフォルニアを目指して故郷オクラホマを出発した農民一家。仕事にありつけるかどうかわからないし、ありつけても少ない賃金と重労働で、とてもいい条件とはいえない。生きる気力を失くしそうなくらい絶望的な環境が、この物語の舞台です。そんな過酷な暮らしにもめげず、厳しい現実に真っ向から立ち向かう家族たちの姿にたくましさ、力強さを感じました。辛い時は家族で団結し、隣人や友人、時には同じ道を進む見知らぬ人とも手を取り合い、共に生き抜いていこうとする姿が印象的でした。
スタインベックの原作をだいぶ省略しているものの、作品のメッセージは十分に伝わってくるつくりに仕上がっているように思います。白黒の画面からはもうもうと砂埃が今にも立ちこめてきそうで、当時の中西部の雰囲気がよく出ています。ジョン・フォード監督というと真っ先に思い浮かぶのが「西部劇」ですが、逆境の中を生き抜いていこうとする人々の姿を着実に描いた名作だと思います。
スタインベックの原作をだいぶ省略しているものの、作品のメッセージは十分に伝わってくるつくりに仕上がっているように思います。白黒の画面からはもうもうと砂埃が今にも立ちこめてきそうで、当時の中西部の雰囲気がよく出ています。ジョン・フォード監督というと真っ先に思い浮かぶのが「西部劇」ですが、逆境の中を生き抜いていこうとする人々の姿を着実に描いた名作だと思います。