死者はよみがえる (創元推理文庫 118-8)
黄金期の作品で、カーの代表作の一つ。カーは作中の登場人物に以下のセリフを言わせている。
「自分ならこの物語をどう構成するだろう」
カーはこう切り出した。南アフリカに住む青年ケントは知人の実業家ダンとの賭けで独力でロンドンに向かう。約束の期日の前日、一文無しとなったケントは約束のホテルで食い逃げを敢行するが、ヒョンな事で顔を潰された女性の絞殺死体を発見する。ケントはフェル博士の所へ逃げ込むが、被害者は何とケントの従弟のロドニーの妻だった。更に驚いた事には、ロドニー自身も二週間前、同様の方法でノースフィールドにあるゲイ卿の屋敷で殺害されていた。ロドニー夫妻はダン達と同行していた。
申し分のない出だしである。問題のホテルの7Fはダン一行が占有しており、カーの作品にしては珍しく見取り図が挿入されている。ロドニー殺害の目撃者は、犯人はホテルのボーイの格好をしていたと証言するが、ホテルでの事件との因果関係は不明。しかし、ダン一行以外には犯人は考えられない状況。愛憎と疑心暗鬼の中、錯綜した状況のまま物語が進む...。
結末で明かされる犯人はアンフェアぎりぎりと言える程意外だが、伏線がキチンと張られている点には感心した。更に、真相が分かった時点で初めて「死者はよみがえる」と言う題名の意味が明瞭になる構成も巧み。充実期のカーの秀作と言えよう。
「自分ならこの物語をどう構成するだろう」
カーはこう切り出した。南アフリカに住む青年ケントは知人の実業家ダンとの賭けで独力でロンドンに向かう。約束の期日の前日、一文無しとなったケントは約束のホテルで食い逃げを敢行するが、ヒョンな事で顔を潰された女性の絞殺死体を発見する。ケントはフェル博士の所へ逃げ込むが、被害者は何とケントの従弟のロドニーの妻だった。更に驚いた事には、ロドニー自身も二週間前、同様の方法でノースフィールドにあるゲイ卿の屋敷で殺害されていた。ロドニー夫妻はダン達と同行していた。
申し分のない出だしである。問題のホテルの7Fはダン一行が占有しており、カーの作品にしては珍しく見取り図が挿入されている。ロドニー殺害の目撃者は、犯人はホテルのボーイの格好をしていたと証言するが、ホテルでの事件との因果関係は不明。しかし、ダン一行以外には犯人は考えられない状況。愛憎と疑心暗鬼の中、錯綜した状況のまま物語が進む...。
結末で明かされる犯人はアンフェアぎりぎりと言える程意外だが、伏線がキチンと張られている点には感心した。更に、真相が分かった時点で初めて「死者はよみがえる」と言う題名の意味が明瞭になる構成も巧み。充実期のカーの秀作と言えよう。